よくわかる!金融用語辞典 【米国の量的緩和政策】

米国の量的緩和政策

米国の量的緩和政策(べいこくのりょうてきかんわせいさく)
quantitative easing(クォンティタティブ・イージング)
QE1 / QE2 / QE3
緩和逓減(かんわていげん)
tapering(テーパリング)

米国の量的緩和政策

【量的緩和政策】

 

量的緩和政策とは、「通貨量を増やす」という量的調整を行う非伝統的な金融政策のことです。中央銀行が国債や証券などを買い入れることで、市場に潤沢に資金を供給します。

 

世の中の景気が悪い状態にあることを「不景気」とか「不況」といいます。
不景気になると、モノがあまり売れず、企業の利益が減るので、労働者の賃金が減ったり、失業者が増えたりします。世の中の金まわりが悪い状態です。
そこで、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が、世の中のお金の量(マネーストック)を増やすための政策を行います。これを「金融緩和政策」といいます。

 

従来の金融緩和政策は、「金利」を調整する方法で行われてきました。金利を下げると、企業は生産設備を増やそうとして、銀行からの借入を増やします。企業が銀行からの借入を増やすと、取引に使われるお金が増えるので、世の中のお金の量(マネーストック)は増えていきます。

 

しかし、金利がほぼゼロに近い状態にまで下がってしまっている場合には、これ以上金利を下げることはできません。そこで、異例の方法として、「金利」ではなく「資金量」に着目した政策が行われました。これを「量的緩和政策」といいます。

 

【QE1とQE2】

 

米国では、2008年から実施された量的緩和政策を「QE1」、2010年から実施された量的緩和政策を「QE2」と、実施時期に応じて呼び分けています。

 

QE1(キューイーワン)は、サブプライム・ローン問題から波及した金融危機に対応するため、2008年11月~2010年6月に実施された量的緩和政策の第1弾で、1兆7250億ドルが供給されました。

 

QE2(キューイーツー)は、米国の景気回復ペースの鈍化を受けて、2010年11月~2011年6月に実施された量的緩和政策の第2弾で、6000億ドルが供給されました。

 

米国の量的緩和政策

 

【米国の経済動向】

 

安定した景気は、消費部門、生産部門、雇用部門の円滑な活動から生まれます。

 

米国の量的緩和政策

 

景気回復には、1つの政策を単独で行うよりも、財政政策と金融政策を組み合わせて行うポリシー・ミックスがより有効です。

 

米国では、2010年11月のQE2(米国の量的緩和政策)や包括的減税案(9000億ドル規模)のポリシー・ミックスにより、消費部門と生産部門には、回復基調が見られました。しかし、雇用部門は低迷したままです。

 

QE2は2011年6月に終了しましたが、2011年10月現在、失業率は、9.1%と高止まりしたままです。

 

米失業率(%)
米国の量的緩和政策

 

【米国の財政悪化】

 

FRBは、QE1(1.7兆ドル)とQE2(0.6兆ドル)で、合計2.3兆ドルの資金供給を行いました。

 

一方、政府は、お金を発行するために、借金を増やしています。米国の国債発行残高は、米国自らが定めた債務上限枠14兆億ドルを超えそうになり、上限枠の引き上げを行いました。

 

財政の悪化(歳出>歳入)は続いています。

 

債務上限引き上げ

 

オバマ米大統領は2011年7月31日夜、米連邦政府の債務上限を2.1兆ドル引き上げ、10年間で2.4兆ドル(約185兆円)の財政赤字を削減することで与野党の幹部が合意に達したと発表しました。

 

【QE3の導入】

 

QE3(キューイースリー)は、労働市場(雇用)を刺激して景気を回復させるため、2012年9月に導入された量的緩和政策の第3弾です。市場から住宅ローン担保証券(MBS)を追加的に買い取って、大量の資金を供給します。

 

●買い取り規模は、月額400億ドル(約3兆円)
  2012 年末までは、オペレーションツイストと並行して行う
●即日実施し、雇用市場が改善するまで継続する
  インフレ率が抑制されている限り、無期限
  さらなる追加緩和もありえる
●事実上のゼロ金利政策を、現在の2014年終盤から2015年半ばまで延長する

 

オペレーションツイスト(月額450億ドル)終了後も、QE3(月額400億ドル)と合わせて、月額850億ドルの買い入れが継続されると見られています。

 

FRBは、「雇用の最大化」と「物価の安定」という目標を達成するために、積極的に政策を行う姿勢です。

 

FRBのバーナンキ議長は、量的緩和は万能薬ではないと強調しながらも、米国債・社債・住宅ローンなどの金利の引き下げ、株式相場・住宅価格の引き上げ、労働市場(雇用)の改善、消費の拡大などに効果があると述べています。

 

米国では、「実質的な増税」(2012年末に大型減税策が失効する)と、「強制的な歳出削減」(2013年1月から大規模財政赤字削減が強制発動される)という「財政の崖」が予定されており、バーナンキ議長はこれらの財政引き締めに伴う景気後退に強い懸念を示しています。

 

【緩和逓減】

 

■ 緩和逓減とは?

 

中央銀行が量的緩和を行うペースを徐々に減らしていくことを「緩和逓減(テーパリング)」といいます。

 

FRBのバーナンキ議長は、2013年5月22日の議会証言で、QE3の規模を縮小する可能性があると発言しました。
さらに、6月19日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では、QE3を「いつ、どのように終らせるか?」という出口戦略を明らかにしました。
これらのバーナンキ議長の発言は、世界の金融市場に大きな衝撃を与え、株価暴落などを引き起こしたことから、バーナンキ・ショックと呼ばれています。

 

緩和逓減の開始時期については、「9月」や「12月」とする説が有力視され、FRBの動向に大きな関心が向けられていました。

 

■ 緩和規模を縮小(2014年1月~)

 

2013年12月18日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2014年1月からQE3の規模を毎月850億ドルから750億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

※FOMCの声明では、さらなる緩和縮小を慎重に続けるであろうこと、米失業率が6.5%を下回り相当の期間が経過するまで、事実上のゼロ金利政策を維持するであろうことなどが表明されています。

 

■ 緩和規模をさらに縮小(2014年2月~)

 

2014年1月29日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国の経済活動が上向いたという判断から、2014年2月からQE3の規模を毎月750億ドルから650億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

■ 3回連続で緩和規模を縮小(2014年4月~)

 

2014年3月19日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3の規模を毎月650億ドルから550億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

※FRBは、金融政策を変更する際の目安としていた「失業率6.5%」という数値基準を撤廃し、幅広い経済指標(失業率、雇用、物価など)を参考にすると表明しました。

 

 

■ 4回連続で緩和規模を縮小(2014年5月~)

 

2014年4月30日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3の規模を毎月550億ドルから450億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

■ 5回連続で緩和規模を縮小(2014年7月~)

 

2014年6月18日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3の規模を毎月450億ドルから350億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

■ 6回連続で緩和規模を縮小(2014年8月~)

 

2014年7月30日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3の規模を毎月350億ドルから250億ドルに縮小することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。

 

■ 7回連続で緩和規模を縮小(2014年10月)

 

2014年9月17日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3の規模を毎月250億ドルから150億ドルに縮小することを決めました。また、QE3を10月で終了することを決めました。
フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は年0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持しました。また、ゼロ金利政策は「相当な期間」継続する方針をあらためて表明しました。

 

米国の量的緩和政策

 

■ 2014年10月終了を決定

 

2014年10月29日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、QE3を10月で終了することを決めました。また、事実上のゼロ金利政策は「相当な期間」継続する方針をあらためて表明しました。

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