よくわかる!金融用語辞典 【インターバンク市場】

インターバンク市場

インターバンク市場(いんたーばんくしじょう)
inter-bank market(インターバンク・マーケット)

インターバンク市場

金融機関が相互の資金の運用と調達を行う市場

 

インターバンク市場は、金融機関が相互の資金の運用と調達を行う場です。取引参加者は金融機関に限定され、資金の出し手、取り手の間を短資会社が仲介しています。

 

インターバンク市場には、コール市場、手形売買市場、東京ドル・コール市場があります。

 

インターバンク市場

 

≪コール市場≫

 

コール市場は、金融機関のごく短期の資金(原則として1ヶ月未満)の貸借を行う市場です。「呼べばこたえる」というところから、「コール」という名がついています。

 

コール市場は、1902(明治35)年頃から、銀行を中心とする金融機関が、日々の資金過不足を最終的に調整しあう場として、自然発生的に成立しました。コール取引は、当初は無担保ベースで行われていましたが、1927(昭和2)年の金融恐慌の後、有担保ベースで行われるようになりました。その後、金融の自由化・国際化に伴う影響から、1985(昭和60)年7月に無担保コール市場が創設され、大きく成長しています。

 

◆有担保コールと無担保コール

 

コール取引には、担保を必要とする有担保コールと、担保を必要としない無担保コールがあります。

 

有担保コール

 

有担保コールは、担保(日銀適格担保)のもとに行われる取引です。日銀適格担保とは、日銀からの借入の担保に使用できるもの(国債など)をいいます。

 

有担保コールでは、短資会社はディーリング取引を行っています。ディーリング取引とは、短資会社が、自己勘定で資金の調達・貸付けを行う取引です。資金の取り手(借りる側)に対するリスクは、短資会社が負います。

 

短資会社が資金の出し手(貸す側)から調達した資金のことをコールマネー、資金の取り手(借りる側)に貸付けた資金のことをコールローンと呼んでいます。

 

無担保コール

 

無担保コールは、担保を必要としない取引です。

 

無担保コールでは、短資会社はブローキング取引を行っています。ブローキング取引とは、短資会社が、オファー・ビッド方式における、資金の出し手と取り手の出合いを仲介する取引です。資金の取り手(借りる側)に対するリスクは、資金の出し手(貸す側)が負います。

 

オファー・ビッド方式とは、資金の出し手・取り手の双方が、短資会社に取引条件(取引金額・レート・期間など)の提示を行い、条件の合致により出合いが成立する取引方法です。

 

インターバンク市場

 

◆取引の種類

 

コール取引には、約定日に決済を行う「半日物取引」、約定日に取組み翌営業日に決済を行う「翌日物取引」、取組日・決済日を自由に設定できる「期日(ターム)物取引」があります。

 

≪手形売買市場≫

 

手形売買市場は、短期資金(翌日物から1年物)を融通する貸借市場です。優良企業の発行する手形を、割引の方法によって売買する形で資金の融通を行います。

 

手形売買市場では、短資会社はディーリング取引を行っています。ディーリング取引とは、短資会社が、自己勘定で資金の調達・貸付けを行う取引です。資金の取り手(借りる側)から手形を買入れ、資金の出し手(貸す側)に売り渡します。資金の取り手(借りる側)に対する信用リスクは、短資会社が負います。

 

◆手形売買市場の創設

 

手形売買市場は、1971(昭和46)年5月にコール市場から分離して創設されました。コール市場よりも、期間が長めの取引を扱います。

 

手形オペの導入

 

1972(昭和47)年、政府の金融調節手段として、手形オペが導入されました。手形オペとは、日銀と金融機関の間で手形を売買することで行われる金融調節のことです。

 

日銀が手形を売却することで資金を吸収し、金融引き締めを行うことを売りオペレーションといいます。逆に、日銀が手形を買い取ることで資金を供給し、金融緩和を行うことを買いオペレーションといいます。

 

◆手形売買方法

 

手形を売買するには、「原手形」を直接売買する方法と、原手形を担保にして「表紙手形」を売買する方法があります。

 

インターバンク市場

 

「原手形」を直接売買する方法

 

信用度の高い企業が振り出した優良手形を、原手形といいます。銀行が取得した手形(商業手形・工業手形・単名手形など)に、銀行が直接裏書をして売買します。

 

原手形を担保にして「表紙手形」を売買する方法

 

銀行振出手形(銀行が自己引受、短資会社を受取人とする為替手形)を、表紙手形といいます。原手形(優良手形)を担保として、金融機関が振り出した表紙手形を売買します。

 

≪東京ドル・コール市場≫

 

東京ドル・コール市場は、外国為替公認銀行間で短期の外貨資金貸借取引を行う場として、1972(昭和47)年4月に創設されました。

 

東京ドル・コール市場は、非居住者の参加はできません。そのため、取引の中心は、非居住者が参加できる東京オフショア市場に移行しています。

 

◆東京オフショア市場

 

東京オフショア市場(JOM:Japan Offshore Market)は、東京市場の国際化を図るために、1986(昭和61)年12月に創設されました。

 

東京オフショア市場は、非居住者が自由に参加できる市場です。国内の金融市場とは分断され、金利規制、預金準備率、源泉税などは課されません。非居住者間の取引のみを自由としています。

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