オープン市場(おーぷんしじょう)
open markets(オープン・マーケット)

オープン市場

一般の事業法人が自由に参加できる市場
CD、債券現先、債券レポ、CP、FB、TB、円建BAなどの取引市場から成り立つ

 

オープン市場は、一般の事業法人が自由に参加できる市場です。金融機関、証券会社、事業法人、外国企業、公的機関などが参加しています。

 

オープン市場は、CD、債券現先、債券レポ、CP、FB、TB、円建BAなどの取引市場から成り立っています。

 

オープン市場

 

≪CD市場(譲渡性預金)≫

 

CDは、譲渡性預金証書(negotiable certificate of deposit)の略称です。第三者に譲渡可能な銀行の預金証書のことをいいます。

 

◆CD市場の創設

 

CDは、1961(昭和36)年に米銀によって導入された金融商品です。日本のCD市場は、1979(昭和54)年5月に証券会社の債券現先取引に対抗して創設されました。銀行が企業の余裕資金を吸い上げる手段として考え出された取引で、日本の自由金利商品の先駆けとなりました。

 

◆CDの取引方法

 

CDの取引方法には、無条件売買(買切りないしは売切り)の方法と、債券現先をまねた条件付売買(CD現先)の方法があります。実際の取引は、CD現先が中心となって行われています。

 

条件付売買とは

 

一定期間後に一定価格での反対売買を約束して行う債券やCDの購入(売却)取引のことを、現先取引または条件付売買といいます。債券を売買する取引を債券現先、CDを売買する取引をCD現先と呼んでいます。

 

買い戻し条件付きで売ることを売り現先または現先といいます。逆に、売り戻し条件付きで買うことを買い現先または逆現先といいます。

 

≪債券現先市場≫

 

債券現先は、一定期間後に一定価格での反対売買を約束して行う債券の購入(売却)取引です。

 

債券現先市場は、証券会社の重要な資金調達手段として、オープン市場で最初に発達した取引です。証券会社は、売り現先を行うことで資金を調達しています。

 

◆債券レポとの違い

 

債券現先取引は、表面上は債券売買ですが、実質的には債券を担保とする短期の資金貸借取引です。似たような取引に、債券貸借取引(債券レポ)があります。

 

債券現先取引は、債券を担保に現金を貸し借りします。債券貸借取引は、現金を担保に債券を貸し借りします。債券と現金のどちらに注目しているかの違いだけで、実質は同じ取引です。

 

◆目的による分類

 

債券現先取引は、目的に応じて、(1)自己現先、(2)委託現先、(3)直現先に分けることができます。

 

自己現先
自己現先とは、証券会社が自社の資金繰りのために、自己の保有する債券を担保に、資金を調達する売り現先のことです。自己保有の債券を、買い戻し条件付きで売却します。

 

委託現先
委託現先とは、証券会社が仲介する取引のことで、顧客の委託を受けて行う売り現先です。顧客は、証券会社に手持ちの債券を買い戻し条件付きで売却します。証券会社は、この債券を同日、買い戻し条件付きで売却します。

 

直現先
直現先とは、都市銀行などの金融機関が、証券会社を経由しないで直接、事業法人などに対して行う売り現先のことです。売り手と買い手が、証券会社を通さず直接行う取引です。

 

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≪債券レポ(債券貸借取引)≫

 

債券レポ市場(債券貸借取引市場)は、品貸料をとって債券の貸借を行う市場です。

 

◆債券レポ市場の創設

 

債券レポ市場は、現金を担保に債券を貸し借りするので、現金担保付債券貸借取引市場とも呼ばれています。1989(平成1)年に創設された貸債(かしさい)市場を発展させて、1996(平成8)年4月に創設されました。

 

貸債市場は、空売りした国債の手当てのために、国債を貸し借りする市場です。債券現先取引と区別するために、差し入れる担保の金額や金利に規制がつけられていたので、無担保ベースの市場として発展してきました。1995(平成7)年末、債券現先取引と区別するための取引規制が取り払われ、現金を担保とする有担保の市場へ衣替えとなりました。

 

◆債券現先取引との違い

 

債券現先取引は、債券を担保に現金を貸し借りします。債券レポ市場は、現金を担保に債券を貸し借りします。債券と現金のどちらに注目しているかの違いだけで、実質は同じ取引です。

 

債券現先取引は、主に証券会社が自社の債券を担保に資金を調達する市場です。一方、債券レポ市場は、銀行、証券会社など、すべての金融機関が自由に参加できる市場です。そのため、債券レポ市場は、債券現先市場にかわって市場を拡大させています。

 

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≪CP市場≫

 

CPは、コマーシャルペーパー(commercial paper)の略で、信用力のある優良企業が割引方式で発行する無担保の約束手形です。

 

CPは、一般企業や金融機関が短期資金を調達するためにオープン市場で発行します。CP発行企業は、企業の信用力を反映した金利で資金調達を行うことができます。

 

◆CP市場の創設

 

CP市場は、米国で自然的に発生した市場です。日本では、1987(昭和62)年11月に創設されました。
1989(平成1)年5月には、日本銀行による公開市場操作(CPオペレーション)が導入されています。

 

≪FB市場≫

 

FBとは、financing billsの略で、政府短期証券のことをいいます。日本の政府が、国庫の一時的な資金不足を補うために発行する短期の国債です。

 

◆発行方式

 

1956(昭和31)年5月、FBの発行方式は、それまでの日銀全額引受から、政府が発行条件を特定して買取希望額を公募する定率公募発行に移行しました。応募額が発行額に満たない場合は、日本銀行が引受けを行いました。その後、1999(平成11)年4月に、発行条件と買取希望額を公募する公募入札方式へと移行しています。

 

◆証券の統合

 

これまで、一般会計が発行する大蔵省証券(蔵券)、食糧管理特別会計が発行する食糧証券(糧券)、外国為替資金特別会計が発行する外国為替資金証券(為券)の3種類が発行されていましたが、1999(平成11)年4月に政府短期証券として統合されました。

 

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≪TB市場≫

 

TBは、treasury billsの略称です。短期国債、短期割引国債、割引短期国債などと呼ばれています。TBは、1970年代後半から大量に発行された国債の、償還・借換えを円滑に行うための資金繰りとして、1986(昭和61)年2月から公募入札方式で発行されています。

 

≪円建BA市場≫

 

◆BA市場

 

BAは、banker's acceptance(銀行引受手形)の略称で、輸出入業者などが貿易決済のために振り出し、銀行が引き受けた期限付為替手形です。

 

銀行は、自らを支払人として期限付為替手形を引き受け、BA市場で売却して資金を調達しています。市場では、投資家やディーラーに転売されます。BA市場は、ニューヨークやロンドンでは発達しており、主要な短期金融市場となっています。

 

◆円建BA市場

 

円建BAは、円建期限付為替手形です。日本では、1983(昭和58)年10月の「総合経済対策」で円建BA市場の創設が検討され、1984(昭和59)年5月の「日米円ドル委員会報告書」で円建BA市場の創設が決定し、1985(昭和60)年6月に円建BA市場が創設されました。

 

円建BA市場は、金融機関や事業法人などが自由に参加できる市場です。創設直後には587億円の残高(1985年6月末)がありましたが、現在のところ取引はほとんどありません。

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