金融大学(金融大学講座)

外国為替入門講座 第3回 外国送金

1.送金為替

 

外国為替とは、現金を受け渡す代わりに、外国の為替銀行の貸借記帳を通して決済する方法です。その決済手段として、「外国為替手形」、「小切手」、「電信指図」等が使われています。

 

外国為替の決済方法は、大きく「取立為替」と「送金為替」に分けられます。

 

取立為替は、商品の「売り手」が「買い手」からおカネを取り立てる方法です。資金を送る方向と為替手段を送る方向が逆になっているところから、「逆為替」ともいいます。通常、貿易為替に利用される決済方法です。決済手段として、荷為替手形が使われています。

 

一方、送金為替は、商品の「買い手」が「売り手」におカネを送る方法です。資金を送る方向と為替手段を送る方向が同じところから、「順為替」とか「並為替」ともいいます。海外の滞在費、個人輸入、書籍代の送金などに利用される決済方法です。決済手段として、「送金小切手」、「郵便送金」や「電信送金」が使われています。

 

※送金為替を送金側から見た場合に仕向送金為替(しむけそうきんがわせ)、受取人側から見た場合に被仕向送金為替(ひしむけそうきんがわせ)という呼び方をします。

 

外国送金

 

 

 

2.送金方法

 

金融外国為替銀行を利用して行う送金には、(1)郵便送金、(2)電信送金、(3)送金小切手 の3つの方法があります。

 

≪郵便送金(メールトランスファー)≫

 

顧客から送金依頼を受けた銀行が、受取人に支払う旨を記載した支払い指図を、支払銀行あてに航空郵便で送る方法です。送金には、通常、1週間ぐらいかかります。

 

≪電信送金(テレグラフィックトランスファー)≫

 

顧客から送金依頼を受けた銀行が、受取人に支払う旨を記載した支払い指図を、支払銀行にあてて電信で行う方法です。電信送金は、急を要する送金に利用されます。利用には、「電信手数料」が必要です。

 

◆郵便・電信送金の受取方法

 

郵便送金や電信送金には、3つの受取方法があります。

 

(a)通知払い
支払銀行が受取人に、送金の到着を通知して支払う方法です。送金人は、取組銀行で送金手続きを行うだけで送金が行えます。受取人には、支払銀行から外国送金到着のご案内が送られます。受取人は、支払銀行に身分証明書を呈示して、受領書に記名捺印してお金を受取る方法です。

 

(b)口座振込
支払銀行が受取人に、送金の到着を通知するとともに、お金を受取人の口座へ入金する方法です。受取人が支払銀行に預金口座を持っているときに利用される方法です。

 

(c)請求払い
受取人が支払銀行に、支払請求を行ってはじめて送金の支払いが受けられる方法です。送金人は、送金を行ったことを別途、メールなどで受取人に知らせてやる必要があります。この方法は、送金人と受取人が同一人物である場合に便利な方法です。例えば、近い将来に外国へ訪問するといった時に、事前に現地の銀行へお金を送金しておくと、送金人本人が現地の銀行へ行って、その国の通貨でお金を受取ることができます。

 

≪送金小切手(ディマンドドラフト)≫

 

送金人が取組銀行から送金小切手の交付を受け、これを受取人に郵送し、受取人はこの小切手を支払銀行に呈示して支払いを受ける方法です。送金小切手を郵送する途中で紛失や盗難にあうと、その再交付には、面倒な手続きが必要です。あまり安全な送金方法ではありません。
送金小切手の受取人は、身分証明書を呈示し、小切手に裏書をして現金を受領します。

 

外国送金

 

海外からドル建ての送金小切手を受取った場合には、為替リスクが生じます。送金小切手を銀行に持ち込んで、円貨に換える必要があるからです。
銀行は、円貨への換算に、当日の一覧払手形買相場(A/S)を使用します。為替相場は毎日変わるので、受け取れる円貨額も毎日変わります。そのため、銀行に為替を持ち込むタイミングが重要です。
※「A/S」は、アト・サイト金利の略です。銀行が外貨を買う場合の値段を示しています。

 

その他の送金方法には、「銀行小切手(バンカーズチェック)」や「個人小切手(パーソナルチェック)」を直接、受取人に郵送する方法があります。海外の銀行に、銀行小切手や個人小切手を持ち込む方法です。これらは、原則として取立扱いになるため、受取人が現金を手にするまでに数週間を要します。
銀行小切手の場合は、「買取扱い」で現金化される場合もあります。支払を依頼された銀行がコルレス銀行先であって、署名鑑により小切手の真正性が確認できる場合のみ、買取扱いとなります。
※銀行小切手や個人小切手のことを、クリーンチェックといいます。船積書類を伴わない小切手という意味です。

 

 

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まとめ

外国為替の決済方法
  取立為替…売り手が買い手からお金を取り立てる方法。逆為替ともいう
  送金為替…買い手が売り手にお金を送る方法。順為替、並為替ともいう
外国為替銀行を利用した送金方法
  郵便送金…支払い指図を航空郵便で送る方法
  電信送金…支払い指図を電信で行う方法
  送金小切手…受取人が小切手を呈示して支払いを受ける方法

 

 

問題と解答
  1. 取立為替は、商品の●●手が●●手からお金を取り立てる方法です。●為替ともいいます。
  2. (答え)売り、買い、逆

  3. 送金為替は、商品の●●手が●●手にお金を送る方法です。順為替とか、●為替ともいいます。
  4. (答え)買い、売り、並

  5. ●●送金は、支払い指図を支払銀行あてに航空郵便で送る方法で、1週間ぐらいかかります。●●送金は、支払い指図を支払銀行にあてて電信で行う方法で、急を要する送金に利用されます。
  6. (答え)郵便、電信

  7. ●●払いは、支払銀行が受取人に送金の到着を通知して支払う方法です。送金人は、取組銀行で送金手続きを行うだけで送金が行えます。
  8. (答え)通知

  9. ●●振込は、支払銀行が受取人に送金の到着を通知するとともに、受取人の口座へ入金する方法です。
  10. (答え)口座

  11. ●●払いは、受取人が支払銀行に支払請求を行ってはじめて送金の支払が受けられる方法です。
  12. (答え)請求

  13. ●●小切手は、送金人が取組銀行から送金小切手の交付を受け、これを受取人に郵送する方法です。受取人は、身分証明書を呈示し、小切手に●●をして現金を受領します。
  14. (答え)送金、裏書

  15. ドル建ての送金小切手を銀行に持ち込んで円貨に換えると、為替リスクが生じます。●●への換算には、当日の一覧払手形買相場(●/S)を使用します。
  16. (答え)円貨、A

  17. ●●小切手(バンカーズチェック)や●●小切手(パーソナルチェック)を受取人に郵送し、海外の銀行に小切手を持ち込む方法は、●●扱いとなる為、受取人が現金を手にするまでに数週間を要します。
  18. (答え)銀行、個人、取立

  19. 銀行小切手や個人小切手を●●●●チェックといいます。また、送金為替を送金側から見た場合に●●送金為替、受取人側から見た場合に●●●送金為替と呼びます。
  20. (答え)クリーン、仕向、被仕向

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