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1.金融政策
金融政策とは、日本銀行が世の中(市中)に出回るお金の量(通貨供給量)を調節することによって、物価の安定をはかり、経済の動きを調整する政策のことをいいます。
≪通貨供給量の調節≫
市場に供給されている通貨供給量(マネーサプライ)と経済活動の間には、密接な関係があります。必要以上のお金が市場に供給されると「カネ余り」の状態となり、通貨価値が下がって物価が高騰するインフレ現象を起こします。逆に、市場に供給されるお金が不足すると、物価が下落するデフレ現象を起こします。
どちらの現象も経済活動を崩壊させてしまうため、日本銀行は、通貨供給量の動向を監視して、市中に出回る通貨量が常に適量となるように調整しています。
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市場のお金の供給量 |
過剰…インフレ現象 |
⇒ 日銀が調整 |
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不足…デフレ現象 |
2.金融政策の方向
モノの売買や生産が沈滞する不況のときには、経済活動を刺激するために金利を下げて、世の中に出回るお金の量(通貨供給量)を増やし、経済活動を刺激します。これを金融緩和といいます。
逆に、物価が高騰して景気が過熱ぎみのときには、金利を上げて市中のお金の量(通貨供給量)を減らし、経済活動を抑制します。これを金融引き締めといいます。
| 景気沈滞 |
→ |
物価下落 |
→ |
金融緩和 |
→ |
通貨供給量増加 | |
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| 通貨供給量減少 |
← |
金融引締め |
← |
物価上昇 |
← |
景気好転 | |
3.金融政策の目標
金融政策には、主に、(1)物価の安定、(2)雇用水準の維持、(3)経済成長の維持、(4)国際収支の均衡、(5)為替レートの安定、という5つの目標があります。
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金融政策の 5つの目標 |
1.物価の安定 |
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2.雇用水準の維持 |
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3.経済成長の維持 |
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4.国際収支の均衡 |
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5.為替レートの安定 |
≪最優先目標は物価の安定≫
金融政策の5つの目標は、よい景気を保つことを目的にしている点では一致しているのですが、短期的には矛盾する場合があります。そうした場合に最優先される目標は、物価の安定です。
日本銀行は、過去の経験から、物価の安定を最優先課題に据えています。なぜなら、長期的には、物価の安定が適切な雇用水準の維持や適正な経済成長をもたらすと考えられるからです。
◆物価に関する統計
物価に関する統計には、総務省が作成する消費者物価指数や、日本銀行が作成する卸売物価指数、企業向けサービス価格指数などがあります。
参考 : 消費者物価指数
4.金融政策の手段
金融政策には、(1)金利政策(公定歩合政策)、(2)公開市場操作、(3)支払準備率操作(預金準備率操作)、という3つの代表的な手段があります。
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金融政策
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金利政策
(公定歩合政策)
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好景気
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公定歩合を上げる
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金融引き締め
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不景気
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公定歩合を下げる
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金融緩和
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公開市場操作
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好景気
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売りオペレーション
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金融引き締め
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不景気
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買いオペレーション
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金融緩和
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支払準備率操作
(預金準備率操作)
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好景気
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支払準備率を上げる
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金融引き締め
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不景気
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支払準備率を下げる
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金融緩和
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金融政策に関する基本方針は、日本銀行の政策委員会が毎月2回、金融政策決定会合を開いて決定し、直ちに公表しています。
≪金利政策(公定歩合政策)≫
金利政策(公定歩合政策)とは、日本銀行が公定歩合を上げ下げすることで行う金融政策です。公定歩合を変えることで市中金利を変動させようとする方法で、企業の投資活動に影響を与えることを目的としています。
景気が過熱した場合には、公定歩合を高く設定して金融を引き締めます。逆に、不景気の場合には、公定歩合を低く設定して金融緩和をはかります。
※公定歩合とは、日本銀行が、民間銀行に貸し出しを行うときの基準金利です。
◆金利政策の効果
金利政策には、(1)コスト効果、(2)アナウンスメント効果、の2つの効果があります。
コスト効果
コスト効果とは、貸出金利というコスト(費用)が変わることによる直接的な効果です。
これまで、公定歩合は規制金利の代表として、銀行金利や為替レートに影響を与えてきました。
しかし、1994(平成6)年以降は金融の自由化が進められ、自由金利を中心に金利が決定されるようになり、公定歩合と市場金利が連動しなくなりはじめました。公定歩合の上げ下げが銀行の預金金利に直接影響を与えることはなくなり、コスト効果の影響は減少しました。
アナウンスメント効果
アナウンスメント効果とは、公定歩合の変更を宣言することによる効果です。公定歩合を上げるという日本銀行の姿勢(スタンス)が分かると、企業はお金を借りるのを控えるようになります。この間接的な波及効果を、アナウンスメント効果と呼んでいます。
公定歩合の変更の宣言には、日本銀行の景気の現状や先行きに対する判断を示すという意味も含まれています。
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コスト効果
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貸出金利が変わることによる直接的な効果
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アナウンスメント効果
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公定歩合の変更を宣言することによる間接的な効果
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参考
: 公定歩合
≪公開市場操作≫
公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)とは、日本銀行が金融市場で民間金融機関に国債や手形を売買することで、市場に資金を供給(または吸収)し、マネーサプライ(通貨供給量)の調節を行うことをいいます。
◆売りオペレーションと買いオペレーション
公開市場操作(オペレーション)には、売りオペレーションと買いオペレーションがあります。
売りオペレーション
売りオペレーションとは、日本銀行が国債や手形などを民間金融機関に売却して、市場の余剰資金を吸収することをいいます。マネーサプライ(通貨供給量)が減れば、金利は上がります。
好景気で、市場に流通するお金が余っていてインフレ気味のときは、売りオペレーションで市場のお金を吸収します。売りオペレーションは、金融引き締め政策となります。
買いオペレーション
買いオペレーションとは、日本銀行が国債や手形などを民間金融機関から購入して、市場に資金を供給することをいいます。マネーサプライ(通貨供給量)が増えれば、金利は下がります。
不景気で、市場に流通するお金が足りなくてデフレ気味のときは、買いオペレーションで市場にお金を供給します。買いオペレーションは、金融緩和政策となります。
≪支払準備率操作≫
支払準備率操作とは、日本銀行が支払準備率を上げ下げすることで、民間銀行が貸出しに回せるお金の量を調節することをいいます。ほかに、預金準備率操作、法定準備率操作、準備率操作という言い方があります。金融機関の貸し出し能力に働きかける方法です。
支払準備率操作は、1957(昭和32)年に制定された「準備預金制度に関する法律」により、1959(昭和34)年9月に導入されました。
日本銀行は、支払準備率を操作することで、マネーサプライを調節することができます。支払準備率を上げると、民間銀行が貸出しや証券投資に回せるお金の量が減少し、支払準備率を下げると、民間銀行が貸出しや証券投資に回せるお金の量が増加します。
参考
: マネーサプライ(通貨供給量)
◆支払準備率と支払準備制度
民間銀行は、預金の払い出しに備えて、一定割合の現金を準備しておく必要があります。この割合のことを、支払準備率(預金準備率、法定準備率、準備率)といいます。
民間銀行は、支払準備にあてられるお金(一定割合の現金)を、日本銀行に無利子で預け入れるように法律で義務づけられています。これを支払準備制度(準備預金制度、法定準備制度)といいます。
◆為替レートへの影響
公定歩合の上げ下げは、為替レートにも影響を与えていました。
公定歩合が上がると、民間銀行の預金金利が上がります。すると、海外の投資家は円で預金しようとするため、ドルを売って円を買う人が増えます。その結果、為替レートは、円高/ドル安に誘導されます。
逆に、公定歩合が下がると、民間銀行の預金金利が下がります。すると、国内の投資家は金利の高いドル通貨で預金しようとするため、円を売ってドルを買う人が増えます。その結果、為替レートは、円安/ドル高に誘導される、という関係にありました。
参考
: 公定歩合
6.金融政策の効果
日本銀行は、金利政策によって市場に出回るお金の量を調節し、極端なインフレやデフレが起こらないようにしてきました。
ところが、1980年代の中頃から金融の規制緩和が進み、公定歩合と市場金利が連動しなくなりはじめました。民間銀行の資金調達方法の多様化が進んだため、日本銀行が公定歩合を上げても、民間銀行は市場から安い金利で資金を調達できるようになりました。
金融政策は、以前のように効果をあらわさなくなっています。これは、金融の国際化が進展した結果です。お金の流れを、国際的な規模で調整しなければならない時代に入っているのです。金融政策を各国と協調して行うことが重要な課題になっています。
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