よくわかる!金融用語辞典 【古典派理論(4)購買力平価説】

古典派理論(4)購買力平価説

古典派理論(こてんはりろん)
neoclassical theory(ネオクラシカル・セオリー)

古典派理論(4)購買力平価説

外国為替レートは、自国通貨と外国通貨の購買力の比率により決まると考える理論

 

購買力平価説とは、外国為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率により決まると考える理論です。スウェーデンの経済学者であるG・カッセル(1866-1945)が、1921年に唱えました。

 

物やサービスの価格は、通貨の購買力を表しています。財やサービスの取引が自由に行える市場では、同じ商品の価格は1つに決まります。これを一物一価の法則といいます。取引が自由に行えて価格の情報が十分に与えられるのであれば、国内でも海外でも、同じ商品の価格は同じ価格で取引されるはずです。

 

もし、米国の物価が日本より安ければ、米国の製品を買う人が増えるはずです。円を売ってドルを買う人が増えるため、米ドルは上昇することになります(円安ドル高)。逆に、日本の物価が米国より安ければ、日本の製品を買う人が増えるはずです。米ドルを売って円を買う人が増えるため、米ドルは下落することになります(円高ドル安)。

 

日本で1個100円のハンバーガーが米国で1ドルであったとすれば、為替レートは、1ドル=100円で釣り合うと考えられます。これを絶対的購買力平価説といいます。しかし、ある一時点の通貨の絶対的な価値(購買力)を把握するのは難しい問題です。そこで、2国間の物価の相対的な動きに着目することにしました。2国間の物価のどちらがより大きく変動したかを見ることにしたのです。

 

2国間の物価指数上昇率の差をインフレ格差といいますが、2国間のインフレ格差から為替レートを決める方法を相対的購買力平価説といいます。ある国の物価が上昇すると、その国の通貨価値は下がります。これを2国間で見ると、インフレ格差分だけ相手国の通貨価値が下がると考えられます。

 

現在の為替レートが1ドル=120円として、日本の物価指数が5%、米国の物価指数が10%上がるとすると、相対的に見て、5%だけ米国の物価が上がったことになります。その結果、ドルの通貨価値は、円に対して5%だけ下がると考えられます。つまり、為替レートは、1ドル=114円に下落して均衡するというわけです。

 

新為替レート = 旧為替レート × (自国インフレ率 ÷ 相手国インフレ率)

 

新為替レート=120円 × (105% ÷ 110%)=114円

 

購買力平価説は、長期の為替レートの動きを説明するのに適しています。

 

◆参考

 

購買力平価説(Purchasing-Power-Parity Theory)
G・カッセル(Gustav Cassel、1866-1945)…スウェーデンの経済学者
外国為替の購買力平価説(purchasing power parity theory of exchange rates)を1921年に発表

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