よくわかる!金融用語辞典 【特別検査(2002年3月期)】

特別検査(2002年3月期)

特別検査(とくべつけんさ)
special inspections(スペシャル・インスペクションズ)

特別検査(2002年3月期)

金融庁が、大口債務者に対する大手銀行の自己査定を検証するもの

 

特別検査とは、金融庁が、大口債務者(融資先)に対する大手銀行の自己査定を検証するものです。
2001(平成13)年9月の「改革先行プログラム」に、不良債権処理促進の一環として盛り込まれました。

 

自己査定とは、銀行が、融資先企業の資金返済能力(経営状態、返済状況、回収の可能性など)を判断し、債権を正常先・要注意先・要管理先・破たん懸念先などの区分に分類することをいいます。

 

特別検査は、通常検査とは別に行われます。金融庁の通常検査は決算日時点の銀行査定を事後チェックするものですが、特別検査は銀行査定を事前チェック(銀行の自己査定期間に立ち会う形式で実施)するものであるため、検査結果を決算に反映させることができます。

 

特別検査では、大口債務者に対する銀行の自己査定が、企業の業況や市場評価に適しているかをチェックします。大手企業が倒産しても銀行が余力を残せるよう、適正な区分による貸倒引当金を積ませます。

 

◆マイカルの破たん

 

2001(平成13)年9月14日、大手スーパーのマイカルが破たんし、グループ全体の負債総額は1兆7428億円となりました。

 

銀行は、マイカルへの融資を比較的健全な「要注意先債権」であると自己査定していました。しかし、マイカルは破たんし、銀行は、貸倒引当金の大幅な不足から多額の損失を出しました。

 

マイカルの破たんにより、「銀行の自己査定」と「金融庁の通常検査」に対する信頼は失われてしまいました。そこで、信頼回復を図る目的で、大口債務者に対象を絞った特別検査を実施しました。

 

≪検査の概要≫(金融庁の公表資料より作成)

 

◆日程

 

特別検査は、2001(平成13)年10月29日から2002(平成14)年3月末に実施しました。11月から12月に対象債務者を決定し、1月から3月に対象債務者の精査と、そのメインバンクである銀行の自己査定基準の検証などを行い、2002(平成14)年4月12日に検査結果を公表しました。

 

◆対象銀行:主要13行

 

対象銀行は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行、東京三菱銀行、あさひ銀行、UFJ銀行、三井住友銀行、大和銀行、三菱信託銀行、安田信託銀行、UFJ信託銀行、住友信託銀行、中央三井信託銀行の13行です。
※2002(平成14)年4月1日、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行は、みずほ銀行・みずほコーポレート銀行に再編し、安田信託銀行は、みずほアセット信託銀行に名称変更しました。

 

◆対象債務者:149社

 

特別検査では、経営不振の大手企業149社が対象に選ばれ、検査を受けました。
対象となるのは、融資残高が100億円以上あり、市場の評価(株価や格付けなど)が大幅に低下した大口債務者です。

 

≪検査の結果≫

 

2002(平成14)年4月12日、金融庁は特別検査の結果として、全業種(149社)を対象とした数値と、不良債権が特に目立つ4業種(98社)を対象とした数値を公表しました。
金融庁は、特別検査の結果、銀行の健全性に問題はないと判断しています。

 

特別検査(2002年3月期)

 

特別検査(2002年3月期)

 

 ※下位遷移…銀行の自己査定(2001年9月期中間決算時)より、査定を引き下げられた債務者
 ※破綻懸念先以下…破たん懸念先、実質破たん先、破たん先に引き下げられた債務者
 ※4業種…建設業、不動産業、卸小売業、その他金融業のこと
 ※直接償却…不良債権を帳簿から切り離してオフバランス化すること。銀行の債権放棄、法的整理(会社更正法の適用)、債権の売却 の3つの方法がある。

 

銀行の債権は、債務者の経営状態によって、正常先・要注意先・破たん懸念先・実質破たん先・破たん先の5つに分類されます。要注意先のうち、返済が遅滞している債権を「要管理先」といいます。要管理先以下の債権が、不良債権となります。

 

特別検査(2002年3月期)

 

要管理先債権が破たん懸念先以下に分類されると、多額の貸倒引当金の積み増しが必要となり、銀行の負担が増加してしまいます。不良債権の劣化を防ぎ、より健全化させることが大切です。

 

一方、特別検査で破たん懸念先以下に区分された企業には、(1)銀行の債権放棄、(2)法的整理(会社更正法の適用)、(3)RCC(整理回収機構)などへの債権売却 などの措置が求められます。

 

≪金融システム強化のための新施策≫

 

金融庁は、2002(平成14)年4月12日(特別検査の結果公表と同日)、「より強固な金融システムの構築に向けた施策」の要旨を発表しました。
これまで、不良債権の最終処理目標を3年以内としてきましたが、それを1年以内に5割、2年以内に8割と細分化した目標を掲げました。また、専任検査チームの設置と、中小企業に対する貸し渋り対策も盛り込みました。

 

特別検査(2002年3月期)

 

≪補足≫

 

◆2002(平成14)年3月期の財務内容(主要13行)

 

特別検査(2002年3月期)

 

◆2002(平成14)年3月期の財務内容(銀行別)

 

特別検査(2002年3月期)

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