よくわかる!金融用語辞典 【先物取引(2)先物取引の特徴】

先物取引(2)先物取引の特徴

先物取引(さきものとりひき)
futures(フューチャーズ)

先物取引(2)先物取引の特徴

商品の定型化、差金決済が中心、取引所取引、証拠金制度の導入

 

先物取引には、(1)商品が定型化されている (2)差金決済が中心である (3)取引所取引である (4)証拠金制度を導入している という4つの特徴があります。

 

(1)商品が定型化されている

 

商品の定型化とは、売買単位や受渡期日などの取引条件が規格化されたものをいいます。この定型化した商品を、標準物(ひょうじゅんもの)と呼んでいます。

 

先物取引では、予約の対象となる商品(為替や国債)の取引条件、取扱金額や予約期間があらかじめ決められています。つまり、定型化された商品だけが取引されています。

 

実際に取引されている商品(為替や国債)の取引条件はまちまちであるため、個々の条件に見合った取引相手を見つけることは不可能です。そこで、大抵の企業のニーズ(必要性)にあう架空の取引条件のものを上場しています。これが標準物です。実際に取引されている商品を対象として、先物取引が行われているのではありません。

 

標準物を取引対象とする方式は、対象銘柄を変更する必要がない点、価格の継続性が維持される点、個別銘柄の属性にわずらわせられない点などに優れており、取引の円滑化に役立っています。例えば、東京証券取引所で行われている債券先物取引では、クーポンレート(利率)や償還期限などを標準化して設定したものを、取引の対象としています。

 

先物取引(2)先物取引の特徴

 

(2)差金決済が中心である

 

先物取引は、取引最終日までに、「転売・買戻し」と呼ばれる反対売買を行い、差金の授受によって決済します。商品を受け渡す代わりに、反対取引をして生じる損益だけを受け渡します。これを差金決済といいます。反対売買を行うことで、期日以前に決済することができます。

 

例えば、ある商品を100円で買う予約をしていて、反対売買をする時点の商品価格が110円に値上がりしていたとすると、100円で買って110円で売るのですから、差額の10円を取引相手(取引所)から受取ることになります。
対象となる先物を100円で買う予約をした人は、限月(期限日)までに必ず、転売(売ること)により決済しなければなりません。そのとき、先物価格が110円に値上がりしていれば10円の利益が得られますが、相場が90円に下落していれば10円の損失が生じます。

 

このように、先物取引は、相場次第で大きな利益を得るチャンスがある反面、大きな損失を被る可能性があります。

 

先物取引(2)先物取引の特徴

 

もちろん、受渡決済期日に現物を受渡決済をする方法もあります。債券先物取引の受渡決済の場合は、現物の債券と売買代金の授受によって、決済が行われます。

 

標準物は実在する債券ではないため、実際には受渡適格銘柄と呼ばれる債券が受渡しに利用されます。受渡代金の計算に当たっては、一定の算式により求められた交換比率(コンバージョン・ファクター)を使って現物に換算しています。

 

(3)取引所取引である

 

取引所で行われる取引のことを取引所取引といいます。取引所取引の特徴は、商品が定型化されていて、限月(げんげつ:期限日のこと)まで、いつでも反対売買を行えることにあります。

 

取引所取引では、取引の注文を一定の場所に集めるため、取引が成立しやすくなります。市場の流動性が確保されています。個人的な契約では、不当に高い価格で取引が成立してしまうことがありますが、取引所では多くの人達が取引に参加するため、一般に妥当と考えられる公正価格で取引することができます。

 

※銀行間や一般企業との間で1対1で取り交わされる相対(あいたい)の予約取引のことを「先渡取引(フォワード)」といい、先物取引と区別しています。

 

(4)証拠金制度を導入している

 

証拠金制度は、取引所に一定の証拠金を差し入れるだけで売買を行えるという制度です。先物取引の履行(りこう)の安全性を図るために導入しています。

 

証拠金は、予約金額の3%前後用意すれば、取引することができます。少ない金額で大きな取引が行えます。これを、レバレッジ(てこの原理)効果と呼んでいます。

 

このほかに、値洗制度を取り入れています。これは、毎日、その時点で契約を清算した場合に考えられる損益分を、証拠金のやり取りで決済しておく方法です。つまり、発生した損益の支払準備を行っておく制度です。この制度により、顧客が取引を決済できなくなるという事態を回避しています。

 

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