よくわかる!金融用語辞典 【金融政策(1)金融政策とは何か】

金融政策(1)金融政策とは何か

金融政策(きんゆうせいさく)
monetary policy(マネタリー・ポリシー)

金融政策(1)金融政策とは何か

日銀が利子率を変更することで通貨供給量を調節し、経済の動きを調整する政策

 

≪金融政策とは何か≫

 

金融政策とは、日本銀行が利子率を変えることによって、世の中(市中)に出回るお金の量(通貨供給量)を調節して、物価の安定をはかり、経済の動きを調整する政策のことをいいます。

 

◆通貨供給量の調節

 

市場に供給されている通貨供給量(マネーサプライ)と経済活動の間には、密接な関係があります。必要以上のお金が市場に供給されると「カネ余り」の状態となり、通貨価値が下がって物価が高騰するインフレ現象を起こします。逆に、市場に供給されるお金が不足すると、物価が下落するデフレ現象を起こします。

 

どちらの現象も経済活動を崩壊させてしまうため、日本銀行は、通貨供給量の動向を監視して、市中に出回る通貨量が常に適量となるように調整しています。

 

金融政策(1)金融政策とは何か

 

◆金融緩和と金融引き締め

 

モノの売買や生産が沈滞する不況のときには、経済活動を刺激するために金利を下げて、世の中に出回るお金の量(通貨供給量)を増やし、経済活動を刺激します。これを金融緩和といいます。

 

逆に、物価が高騰して景気が過熱ぎみのときには、金利を上げて市中のお金の量(通貨供給量)を減らし、経済活動を抑制します。これを金融引き締めといいます。

 

金融政策(1)金融政策とは何か

 

≪金融政策の目標≫

 

金融政策には、主に、(1)物価の安定、(2)雇用水準の維持、(3)経済成長の維持、(4)国際収支の均衡、(5)為替レートの安定、という5つの目標があります。

 

金融政策(1)金融政策とは何か

 

◆最優先目標は物価の安定

 

金融政策の5つの目標は、よい景気を保つことを目的にしている点では一致しているのですが、短期的には矛盾する場合があります。そうした場合に最優先される目標は、物価の安定です。

 

日本銀行は、過去の経験から、物価の安定を最優先課題に据えています。なぜなら、長期的には、物価の安定が適切な雇用水準の維持や適正な経済成長をもたらすと考えられるからです。

 

◆物価に関する統計

 

物価に関する統計には、総務省が作成する消費者物価指数や、日本銀行が作成する卸売物価指数、企業向けサービス価格指数などがあります。

 

≪金融政策の手段≫

 

金融政策には、(1)金利政策(公定歩合政策)、(2)公開市場操作、(3)支払準備率操作(預金準備率操作)、という3つの代表的な手段があります。

 

金利政策(公定歩合政策)とは、日本銀行が公定歩合を上げ下げすることで、市中金利に影響を与える方法です。

 

公開市場操作とは、日本銀行が金融市場で民間金融機関に国債や手形を売買することで、市場に資金を供給(または吸収)し、マネーサプライ(通貨供給量)の調節を行うことをいいます。

 

支払準備率操作とは、日本銀行が支払準備率を上げ下げすることで、民間銀行が貸出しに回せるお金の量を調節することをいいます。

 

≪金融政策の効果≫

 

日本銀行は、金利政策によって市場に出回るお金の量を調節し、極端なインフレやデフレが起こらないようにしてきました。

 

ところが、1980年代の中頃から金融の規制緩和が進み、公定歩合と市場金利が連動しなくなりはじめました。民間銀行の資金調達方法の多様化が進んだため、日本銀行が公定歩合を上げても、民間銀行は市場から安い金利で資金を調達できるようになりました。

 

金融政策は、以前のように効果をあらわさなくなっています。これは、金融の国際化が進展した結果です。お金の流れを、国際的な規模で調整しなければならない時代に入っているのです。金融政策を各国と協調して行うことが重要な課題になっています。

スポンサーリンク

金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 金融政策(1)金融政策とは何か

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

トップへ戻る