よくわかる!金融用語辞典 【金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)】

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

金融機関(きんゆうきかん)
financial institution(フィナンシャル・インスティテュ-ション)

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

金融機関…企業が活動するための資金を、融通・仲介する役割
狭義の意味…一時的な過不足を調整するお金の貸し借り

 

資金の余剰部門と不足部門との間を仲介して、資金を効率的に配分する機関を金融機関と呼んでいます。金融機関は、企業が活動するための資金の融通や仲介の役割を担う機関です。

 

金融機関の機能は、(1)金融仲介機能、(2)信用創造機能、(3)決済機能、の3つに集約されます。

 

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

 

≪金融仲介機能≫

 

金融仲介機能とは、借り手と貸し手の仲介を行うことです。金融機関が借り手と貸し手のニーズをうまく調節することで、金融取引に伴うリスクやコストを軽減させることができます。

 

個人がお金を貸し借りしようと思っても、誰がどのくらいのお金を運用しようとしているのか、どこの企業がどのくらい資金を必要としているのか、わかりません。借り手と貸し手が個々に連絡をとって取引を行うのは、費用や手間がかかり大変です。企業がまとまった金額を借りる場合にも、複数の貸し手を探さなければなりません。ここに、貸し借りの仲立ちをする金融機関の果たす役割があります。

 

◆金融仲介機関

 

金融仲介機能を専門的に行う金融機関のことを、金融仲介機関と呼んでいます。間接証券(預金証書や保険証書など)を発行する金融機関のことで、銀行、信用金庫、保険会社などがあります。

 

証券会社は、企業と個人投資家との間に入りますが仲介だけしか行わず、借り手が債務を返さない場合の責任は負っていません。金融仲介機能の1つであるリスク負担機能を果たしていないため、金融仲介機関には分類されません。

 

◆金融仲介機能の種類

 

金融仲介機能には、(1)情報生産機能、(2)リスク負担機能、(3)資産変換機能 などがあります。

 

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

 

(1)情報生産機能

 

情報生産機能とは、金融機関がお金の借り手の情報を収集して、借り手の信用度を審査したり、返済が履行されるか監視していくことをいいます。金融機関がプロの目で貸手先を選択することで、投資した資金が戻ってこないというリスクを軽減する役割も担っています。

 

・情報の非対称性

 

情報の非対称性とは、取引の参加者の間で、取引相手の情報が得られないことによる情報の偏り(かたより)のことです。

 

金融機関を利用せず個人でお金の貸借取引をすると、貸し手は借り手に関する情報が得られないという問題が生じます。

 

お金を借りたいと考えている人や、お金を貸したいと考えている人が、取引相手を見つけることは簡単なことではありません。個人では、そうした情報を得ることができないからです。また、お金の貸し手には、相手(借り手)の信用度に関する情報もありません。貸したお金を返してもらえるのかどうか、よくわからない相手との取引は不安です。

 

このように、借り手の情報と貸し手の情報がどちらも不十分で情報が偏在すると、金融取引の障害となります。この問題を解消する役割を果たしているのが金融機関です。

 

(2)リスク負担機能

 

リスク負担機能とは、借り手が債務を返さないというリスクを金融機関が負うことをいいます。個人間の貸し借りでは、借り手がお金を返さないというリスクは貸し手が負いますが、金融機関が借り手と貸し手の仲介を行うことで、貸し手に代わって金融機関がリスクを負担します。

 

したがって、お金を運用したいと考える個人は、銀行に預金という形でお金を貸すことで、安全に運用することができます。銀行は、貸し手(預金者)のリスクを低減する役割を果たしています。

 

(3)資産変換機能

 

資産変換機能とは、本源的証券を間接証券に変換して、大量の資金の調達と融通を行うことをいいます。つまり、銀行は集めた預金を1つにまとめて貸し付けることができ、借り手は借りたい期間だけお金を借りることができます。

 

本源的証券とは、企業がお金を借りるために発行する、手形や借入証書のことで、直接証券とも呼ばれています。本源的証券には、株式、社債、公共債(国債、地方債、政府保証債)などがあります。貸し手のリスクは、間接証券を保有する場合に比べて高くなります。貸し手側からみると、本源的証券は、ハイリスク・ハイリターンの金融資産であるといえます。

 

一方、間接証券とは、金融機関が発行する、預金証書や保険証書のことをいいます。貸し手側からみると、本源的証券に比べて、より安全な金融資産であるといえます。

 

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

 

銀行は、預金者へ預金証書などの間接証券を発行して、個人から大量の資金を集め、企業が発行する本源的証券と引換えに貸付を行っています。つまり、本源的証券を間接証券に変換することによって、大量の資金の調達と融通を行っているのです。

 

≪信用創造機能≫

 

信用創造機能とは、銀行が預金と貸出しを連鎖的に繰り返すことで、お金(通貨)が増えていくことをいいます。

 

銀行は、預金という形で大勢の預金者からお金を預かり、預金者がいつでも預金を払い戻せるように、現金を用意しています。預金者の中には、預金をすぐに払い戻す人もいれば、長期間預けておく人もいます。預金者全員がすぐに預金を払い戻すことはまずないので、銀行は預金の全額を現金で用意しておく必要はありません。預金の一部を支払準備として現金で手元に置いておくと、残りの預金を企業への貸付に回すことができます。
企業に貸し出されたお金は、取引先の支払いに充てられます。支払いを受けた取引先は、このお金をすぐに使う当てがなければ、銀行に預けることになります。銀行は、支払準備分を手元に残して、残りをまた貸出しに回します。これを繰り返すと、預金通貨というお金が新しく生み出され、銀行全体の預金残高は、どんどん増えていきます。これを「信用創造」と呼んでいます。

 

金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

 

≪決済機能≫

 

決済機能とは、銀行の預金口座を利用することによって、現金を使わずに、口座振替で送金や公共料金の支払いなどができることです。
この決済機能は、全国的な金融機関のネットワークと豊富な資金量が裏付けとなって実現しています。

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参考ファイル

 

金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 金融機関の機能(金融仲介機能、信用創造機能、決済機能)

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