経済体制=資源配分のしくみ |
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経済学とは、「資源配分のしくみ」をどのように利用すれば、人々(国民)が幸福になれるのかを考える学問です。 |
どのように国を繫栄させるのか、どうしたら国民生活が向上するのか等について考えます。 |
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資源配分とは、希少な資源を用いて、社会生活に必要なモノ(財・サービス)を生産し、国民(社会の成員)に分配することです。この資源配分のしくみのことを経済体制といいます。 |
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資源とは、モノの原材料のことです。天然資源のほか、労働力や技術力等の人的資源のことを指します。 |
一方、ここでいう幸福とは、モノを消費することによって満足を得る生活のことです。経済(活動)は、物欲を満たす活動です。 |
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経済学の研究分野は、経済史、経済理論、経済政策 の3つに大別されます。 |
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経済史とは |
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経済史は、経済体制の歴史の研究です。経済現象のありのままの姿を把握し、各時代の社会秩序の実態を分析することで、経済体制の規範(あるべき姿)を探求します。 |
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経済史の重要性は、過去の経済現象を研究して、そこから新しい知恵(経済理論)を引き出すことにあります。これを温故知新といいます。 |
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現在の経済体制は、資本主義・市場経済 |
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世界には、たくさんの国があります。国には、国を繁栄させ、国民を幸福にする義務があります。 |
現在、日本や米国をはじめ、多くの国が採用する経済体制を、資本主義・市場経済といいます。 |
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資本主義・市場経済は、資源配分を民間の企業に任せる経済体制のことです。 |
資本主義とは、生産手段を私有する資本家が、商売を目的に、モノ(財・サービス)を社会に供給する経済体制のことです。 |
一方、市場経済とは、企業(資本家)と家計(労働者)が、市場を通じて取引することで、モノを分配する経済体制のことです。つまり、資本主義と市場経済は、同じ経済体制(注)のことを指しています。 |
※同じ経済体制(注)…解説のファイルがあります。 |
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(資本主義を否定し、資源配分のしくみを政府が決める体制を社会主義といいます。社会主義を選択している国には、中国やベトナムなどがあります。) |
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経済理論とは |
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経済理論とは、経済体制を利用して、国民の生活をいかに最適(幸福)なものにするかの研究です。 |
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「最適」とは? |
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最適とは、制約の中で最高の状態を作ることです。制約とは、自由な活動や物事の成立を阻む条件や枠のことです。 |
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資源配分における制約とは、資源の希少性です。モノ(財・サービス)を作るのに必要な、原材料や労働力が不足していることです。 |
つまり、最適とは、希少な資源という制約の中で、モノを消費して得られる効用(満足度)を最高水準に引き上げることです。このとき、国民の生活(物欲を満たす活動)は、幸福な状態にあります。 |
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最適を捉えるのは難しいですが、経済学では、「均衡」と「完全雇用」という2つの基準を設けて、最適を捉えます。 |
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「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」 |
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経済理論は、ミクロ経済学とマクロ経済学に分けられます。どちらも最適を研究する学問です。 |
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ミクロ経済学では、市場機構(価格調整メカニズム)により経済が「均衡」しているかの研究と、「市場の失敗」に関する研究をしています。 |
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マクロ経済学では、市場経済が「完全雇用」を実現しているかを研究しています。 |
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経済政策とは |
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経済政策とは、市場経済の不備を解決する方策のことです。 |
経済政策は、短期的政策と長期的政策の2つに大別されます。 |
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短期的政策 |
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短期的な政策とは、市場取引の需要側に着目して、需要を調整する方策のことで、財政政策と金融政策があります。 |
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財政政策とは、政府が、公共事業等へ支出することです。これは、政府が直接、市場で買物をする方策です。 |
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金融政策とは、日本銀行(中央銀行)が、貨幣供給量を調節することです。不況やデフレの場合には、金融緩和を行い、貨幣供給量を増やします。 |
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長期的政策 |
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長期的な政策とは、市場取引の供給側に着目して、供給を調整する方策のことです。 |
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①規制緩和により、自由競争を促進して、市場取引を増やす |
②新産業・技術の育成・開発により、市場取引を増やす |
③グローバルな累進課税システムの導入により、所得格差を是正して、労働者の不満を解消する 等があります。 |
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参考文献 |