デリバティブ(金融派生商品)

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金融大学(金融大学講座)

デリバティブ(金融派生商品)

1.デリバティブ(派生商品)とは何か

 

派生商品とは、既存の金融商品(株式、債券、為替)から派生してできた取引に付けられた総称です。英語で、Derivatives(デリバティブズ)といいます。
正式には、金融派生商品(Financial derivative products:フィナンシャル・デリバティブ・プロダクツ)といいます。

 

派生商品は、先物取引(フューチャー)、スワップ取引、オプション取引の総称で、予約の一種です。予約とは、将来の時点で商品を売買する約定です。将来に損益(差金)部分のみをやりとりするところに特徴があります。

 

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例えば、AさんとBさんの間で株式を3ヵ月後に100円で売買する予約をするとします。Aさんは買いの予約、Bさんは売りの予約をすることになります。

 

3ヶ月後に株式の市場価格が150円に値上がりしていた場合、Aさんは、Bさんから株式を100円で買うことができます。市場では150円で売れるので、50円の利益がでます。一方、Bさんは、市場から150円で株式を買ってきてAさんに100円で売らなければならないため、50円の損失が発生します。

 

逆に、3ヶ月後に株式の市場価格が50円に値下がりしていた場合、Aさんは50円の損失を、Bさんは50円の利益を得ることになります。

 

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そこで、株式が値上がりしていたら、損益の50円をBさんからAさんに支払う、逆に、株式が値下がりしていたら、損益の50円をAさんからBさんに支払うという約定にアレンジしたものが、派生商品です。

 

もっとも、オプション取引には、予約が行使(実行)できるだけで、差金決済をしない商品もたくさんあります。しかし、これらの商品は、市場でいつでも反対取引ができるようになっていて、商品の性格として差金取引と同等の効能を持つため、派生商品に属する取引となります。

 

それでは、派生商品を先物、スワップ、オプションに分けて、詳しく見ていくことにしましょう。

 

 

 

2.先物取引とは何か

 

金融先物取引は、金融商品を将来の時点で買う、または売るという約定を行う予約の取引です。

 

予約取引では、通常、予約日に金融商品の受渡しを行いますが、先物取引では、商品を受け渡す代わりに反対取引をして、生じる損益だけを受け渡します。これを差金決済と呼んでいます。

 

例えば、ある商品を100円で買う予約をしていて、反対売買をする時点の商品価格が120円に値上がりしたとすると、100円で買って120円で売るのですから、差額の20円を取引相手(取引所)から受取ることになります。

 

先物取引は、取引所で行われる取引所取引です。英語ではフューチャーズ(Futures)といいます。商品は定型化されていて、取引金額や予約日(一定の期限)が決められています。先物は、この期限日まで、いつでも反対売買を行うことができます。この期限日のことを「限月(げんげつ)」といいます。また、買う予約をすることを「買建て」、売る予約をすることを「売建て」といいます。

 

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≪先物取引の特徴≫

 

先物取引には、(1)定型化、(2)差金決済、(3)取引所取引、(4)証拠金制度、の4つの特徴があります。

 

(1)定型化

 

1番目の特徴は、商品が定型化されていることです。

 

先物取引は、予約の対象となる商品(為替や国債)の取引条件があらかじめ決められています。つまり、売買単位や受渡期日などの取引条件が規格化されたものだけが取引されています。この定型化した商品を「標準物」(ひょうじゅんもの)と呼んでいます。

 

標準物は、対象銘柄を変更する必要がなく、価格の継続性が維持され、個別銘柄の属性にわずらわせられないため、取引の円滑化に役立っています。

 

(2)差金決済

 

2番目の特徴は、決済期限日までに反対取引をして差金決済(さきんけっさい)することです。

 

先物取引は、取引最終日までに、転売・買戻しと呼ばれる反対売買を行い、差金の授受によって決済します。もちろん、現物の商品を受渡しして決済する方法もあります。債券先物取引の受渡決済の場合は、売買代金及び現物の債券の授受によって決済が行われます。

 

標準物は実在する債券ではないため、実際には受渡適格銘柄と呼ばれる債券が受渡しに利用されます。受渡代金の計算に当たっては、一定の算式により求められた交換比率(コンバージョン・ファクター)を受渡決済値段に乗じて、取引対象である標準物と受渡銘柄との価値を調整しています。

 

(3)取引所取引

 

3番目の特徴は、取引所取引であることです。

 

取引の注文が一定の場所に集まるため、取引の流動性が確保されています。個人的な契約では、不当に高い価格で取引が成立してしまうことがありますが、取引所では多くの人達が取引に参加するため、一般に妥当と考えられる公正価格で取引することができます。

 

(4)証拠金制度

 

4番目の特徴は、証拠金制度を導入していることです。

 

証拠金制度は、取引所に一定の証拠金を差し入れるだけで売買できる制度で、先物取引の履行(りこう)の安全性を図るためのものです。証拠金は、予約金額の3%前後です。少ない金額で大きな取引が行えます。これをレバレッジ(てこの原理)効果と呼んでいます。

 

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このほかに、値洗制度を取り入れています。これは、毎日、その時点で契約を清算した場合に考えられる損益分を、証拠金のやり取りで決済しておく方法です。発生した損益の支払準備を行っておくことで、顧客が取引の決済ができなくなるという事態を回避しています。

 

 

 

3.スワップとは何か

 

スワップとは、交換という意味で、等価のキャッシュ・フローを交換する取引の総称です。2者間で同じ価値をもつ「将来の一連のお金の流れ」を交換する取引です。

 

契約では、お金をいつ交換するのか、その金額をどう計算するのかを決めておきます。スワップの交換は1回だけではなく、長期間にわたって数回行われるのが普通です。取引は、売り手1人に買い手1人の相対(あいたい)取引で行われます。

 

スワップ取引は、何を交換するのかで、金利スワップと通貨スワップに分けられます。

 

金利スワップとは、同じ通貨間の異なる種類の金利を交換する取引です。この取引では、通常、元本の交換をしません。金利計算のために元本を名目上決めています。これを想定元本(そうていがんぽん)と呼んでいます。

 

一方、通貨スワップとは、異種通貨間の異なる種類の金利を交換する取引です。この取引では、元本の交換をします。

 

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スワップは、現物取引と比べてコストが小さく、事務手続が簡単です。例えば、債務を交換するには、面倒な法的手続きが必要です。しかし、スワップ取引を使うと、金利支払い部分を交換するだけで、法的な手続きなしに債務の交換を行うのと同じ経済的効果が得られます。

 

スワップ取引は、1981年にIBMと世界銀行との間で取り交わされた米ドルとスイスフランの通貨スワップがはじめとされています。

 

当初のスワップ取引は、想定元本が変わらないキャッシュフローの簡単な取引でした。これを「プレインバニラ」と呼んでいます。これは、トッピングのないアイスクリームをプレインバニラというところから名付けたものです。最近は、想定元本が変化する複雑なキャッシュフローのスワップが行われるようになっています。

 

≪金利スワップ≫

 

金利スワップは、資金の支払いを相互に交換する取引です。変動金利(短期間毎に変更)の債務を持つA社と、固定金利(金利一定)の債務を持つB社が、金利支払いを交換する取引です。

 

例えば、A社とB社の両社が、元本100億円、期間5年の借入金(債務)を持っているとします。A社の借入金は期間1年の変動金利、B社の借入金は固定金利5%です。A社は固定金利の借入金に変更したいと考え、B社は変動金利の借入に変更したいと考えています。そこで、この固定金利と変動金利の支払いを交換することにします。

 

A社はB社から、変動金利を受取って固定金利を支払う取引を行い、B社はA社から、固定金利を受け取って変動金利を支払う取引を行います。

 

この金利の交換を行うと、A社の借入金(変動金利)の金利支払いをB社が行い、B社の借入金(固定金利)の金利支払いをA社が行うことになります。

 

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変動金利は、市場の金利水準から、最初の1年間の金利のみわかっています。変動金利が4%の場合、1年後にA社は5億円(100億円・5%・1年)をB社に支払い、B社は4億円(100億円・4%・1年)をA社に支払います。その結果、B社は1億円の得をします。これは、固定金利と変動金利の金利差1%(5%-4%=1%)です。2年目に変動金利が7%になったとします。A社は、B社に固定金利分の5億円を支払います。B社は、A社に変動金利分の7億円を支払います。したがって、今度は、A社が金利差2%(7%-5%=2%)に相当する2億円の得をします。
このように、金利スワップでどちらが得をするかは、取引期間の5年が終了するまでわかりません。

 

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4.オプションとは何か

 

オプションは、英語で選択権という意味です。ある商品(為替、株式、債券)を将来の一定期日に、あるいは一定期間内に特定の価格で買う、または売ることができる権利の売買をオプション取引と呼んでいます。都合の良いときにだけ売買できる予約取引です。見方を変えると、いつでもキャンセルできる予約取引です。

 

オプションの対象商品のことを原資産(げんしさん)、原資産の予定価格のことを行使価格(権利行使価格)といいます。オプション(権利)の価格のことをプレミアム(オプション料)、オプションを実行することを行使するといいます。

 

オプションには、買う権利と売る権利の2種類があります。商品を買う権利のことをコール、商品を売る権利のことをプットといいます。
オプションの買い手は、プレミアムを売り手に支払って、コールあるいはプットを取得します。買い手には、オプションを行使する権利が生じます。自分の都合の良いときにだけ取引を行うことができます。コールの買い手は、ある商品を特定の価格(行使価格)で買うことができます。プットの買い手は、ある商品を行使価格で売ることができます。
オプションの売り手は、買い手からプレミアムを受取ります。買い手がオプションを行使した場合には、行使価格で売買に応じるという義務を負います。

 

オプションには、取引期限があります。これを満期日とか、行使最終期限日と呼んでいます。
オプションは、権利行使の時期から大きく2つに分けられます。満期日にしか権利行使ができないタイプのものをヨーロピアン、満期日までいつでも権利行使ができるタイプのものをアメリカンと呼んでいます。

 

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原資産が外国為替の場合には通貨オプション、ボンド(債券)の場合はボンド(債券)オプション、金利の場合は金利オプション、株価指数の場合は株価指数オプションと呼びます。

 

≪オプション損益≫

 

オプション取引の損益は、反対取引(買う取引と、売る取引)が行われて確定します。例えば、外国為替のドルコールオプションの損益を確定する場合を考えてみましょう。

 

プレミアム(権利料)1円を支払い、1ドルを100円で買うことができる権利を手にいれたとします。このオプションの保有者は、外国為替レートがいくらになっても、行使価格1ドル=100円で、オプションの売り手からドルを買うことができます。

 

ドルの市場価格が100円より値上がりした場合には、オプションの権利を実行します。オプションを実行することを、「オプションを行使する」といいます。

 

例えば、外国為替市場で、ドルの価格が1ドル=150円に値上がりしたとします。オプションを行使すると、1ドルを100円で買うことができます。この1ドルを外国為替市場で150円で売却すると、50円の利益が生み出されます。当初、プレミアム1円を払っているので、最終利益は49円となります。(説明を簡単にするため、手数料計算は省略しています。)

 

逆に、ドルの市場価格が100円より値下がりした場合には、オプションを放棄します。外国為替市場(銀行)に行けば、100円より安くドルを購入できるので、オプションを行使してドルを買う必要はありません。当初、プレミアム1円を払っているので、1円の損失となります。

 

オプションを持っていると、ドルが行使価格の100円より値上がりすれば、利益が生じます。逆に、ドルがどんなに値下がりしても、損失はプレミアムの1円に限定されます。

 

≪オプション取引と先渡予約の比較≫
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オプションと先物の損益を比較すると、オプションの方がプレミアム分だけ損益が劣っていることがわかります。将来への見通しが確実なら、先物で投資します。オプションは、将来への見通しが不確実な場合に、損失を限定し、機会利益を追求する取引です。

 

≪損益の確定≫

 

相対(あいたい)取引のオプションの場合、オプションを行使しても、損益を確定できるわけではありません。別途、現物市場(先物市場)で反対取引をして初めて損益を確定できます。もし、市場でその商品を売ることができなければ、損益を確定できません。
オプションで損益を確定するためには、市場で「反対取引」ができなくてはなりません。投資目的でオプションを買う場合、市場でいつでも売れるという条件が必要です。つまり、オプション取引には、現物市場に流動性があることが必要です。

 

取引所取引のオプションの場合、差金決済のシステムが取引に組み込まれているので、オプション取引のみで損益が確定します。取引所のオプションで先物オプションを行使すると、先物の予約取引に振りかわり、その先物は反対取引で決済されて損益が確定します。

 

オプションの損益を確定する他の方法として、オプションをそのまま売却する方法があります。先の例で為替レートが150円になっていた場合、オプションを実行すると50円の利益を生み出します。つまり、そのオプションは50円の価値があるので、オプションの権利自体を50円で売ることができます。当初1円で買ったプレミアムを50円で売ると、49円の利益が出ることになります。これは、オプションの満期まで、ある程度期間が残っているときに採られる方法です。

 

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5.デリバティブの取引市場

 

デリバティブ取引は、取引の性格から先物、スワップ、オプションの3つに分けられます。
一方、デリバティブの対象商品のことを原資産(げんしさん)といいますが、原資産の種類によってデリバティブが取引される市場が異なっています。
原資産を為替、金利、株式に分けると、店頭市場と上場市場(取引所取引)に分けられます。

 

上場市場は、取引所で、会員同士が取引を行う市場です。日本の取引所は、短期金利商品を扱う東京金融先物取引所と、株式と債券を扱う証券取引所(東京証券取引所、大阪証券取引所など)に分けられます。

 

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先物は、取引所で会員間のみで取引される上場取引です。日本の先物取引は、東京証券取引所、大阪証券取引所、東京金融先物取引所に上場されています。東京証券取引所では国債と株価指数の先物取引、大阪証券取引所では株価指数、東京金融先物取引所では金利先物と通貨先物が取引されています。

 

一方、店頭市場は、銀行間や、銀行と顧客が相対(あいたい)で取引を行う市場です。スワップは、取引の性質上、相対で取引される店頭商品です。

 

通貨オプションは、店頭取引が主流です。金利や株式は、取引所で取引されています。東京金融先物取引所では、短期金利を原資産とするユーロ円3か月先物オプションが取引され、証券取引所では、国債先物、株価指数、個別株式を原資産とするオプションが取引されています。

 

国債先物オプションは、長期国債先物や中期国債先物を対象とする取引です。株価指数オプションは、株価指数を基礎商品とする取引です。個別株式オプションは、投資家が個別銘柄を選んで行う取引です。

 

上場市場では、原資産が現物であれば現物オプション、原資産が先物であれば先物オプションというように呼んでいます。

 

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6.デリバティブ利用法

 

デリバティブには、(1)リスクへッジ、(2)投機、(3)裁定 の3つの利用方法があります。

 

(1)リスクヘッジ

 

デリバティブは、相場の変動リスクを回避したい場合に利用します。

 

例えば、ある株式を保有していて、株価が今後値下がりしそうなのに、株式を今すぐに売ることができない事情があったとします。そうしたときに、先物で売っておけば、値下がりによって被る損失を回避することができます。
株価が1000円から900円に値下がりした場合、現物では100円の損失を被りますが、先物から100円の利益が得られて損失を相殺できるというものです。これは、現物の相場と先物相場が同じ幅だけ動くと仮定した場合の話です。株式を売ると900円しか手に入りませんが、先物を決済して得られた100円を合計すると、株式を1000円で売ったのと変わらないことになります。

 

このように金融商品のリスクを回避することを、ヘッジと呼んでいます。ヘッジとは、現物で被る損失を、デリバティブで得られる利益で相殺することを意味します。現物と反対のポジションを、デリバティブで保有するわけです。

 

デリバティブ取引は、市場リスクをヘッジする手段として考案された取引です。デリバティブ取引を利用すると、帳簿上の債権を動かさずにリスクヘッジを行えます。

 

(2)投機

 

デリバティブを単独で保有する場合です。リスクをとって利益の獲得を狙います。

 

(3)裁定

 

デリバティブ商品の価格差を利用して鞘取りをするものです。主にデリバティブを仲介する金融機関の取引方法です。

 

デリバティブは、新商品開発に欠かせないツ-ル(道具)となっています。一般に、金融の新商品は、キャッシュフローを作り変えることで生まれます。例えば、固定金利の商品を変動金利の商品に変換すると、新しいニーズ(必要性)に応えられるようになります。デリバティブは、債権を流動化させるストラクチャード・ファイナンス案件にも利用されています。

 

キャッシュフローを自由に作り変える技術のことをフィナンシャル・エンジニアリング(金融工学)といいますが、デリバティブを使いこなす技術が重要になってきています。デリバティブは、リスク管理に必携なツールです。

 

 

 

7.デリバティブの特色

 

デリバティブの、もとの商品である株式のことを原資産(げんしさん)と呼びます。デリバティブとは、ある原資産の相場(為替、LIBOR、株価指数等)を指標にして将来の損益を交換する取引です。派生商品の価格は、原資産の価格に依存して決まります。原資産の価格の変動とは、市場リスクを意味します。つまり、デリバティブは、市場リスクを売買する取引です。

 

デリバティブの特徴は、(1)オフバランス、(2)レバレッジ、(3)リスク取引です。

 

(1)オフバランス

 

デリバティブは、「将来の時点」でお金を交換する予約の取引です。取引時点では、取引に資産価値はありません。スタート時点のデリバティブの価格はゼロとなるように設定されます。買い手にとっても売り手にとっても損得の生じない価格です。もし、デリバティブに価値があると誰もがただで儲かることになります。

 

デリバティブで派生商品の契約を交わした時点での派生商品の価値はゼロですから、貸借対照表(バランスシート)には載らないのです。これをオフバランス取引と呼んでいます。
なお、オプションのプレミアムはバランスシートに記載されますが、これは、予想される将来のオプション価値を前払いする形で受渡しするものです。

 

(2)レバレッジ

 

デリバティブは予約ですから、取引に大きな元手を必要としません。決済も差金部分のやり取りです。小さな金額で、想定元本相当の取引を行うことができます。少ない資金で多額な資本を動かす取引の仕組みを、「てこの原理」からレバレッジ(てこ)があるといいます。レバレッジがデリバティブの特徴です。

 

(3)リスク取引

 

デリバティブ取引は、将来のキャッシュフローの交換です。原資産の相場が将来どう変わるかで損益が変動する、投機性のある取引です。デリバティブの損益は、原資産の相場次第で大きく動きます。将来の相場の動向は誰にもわかりません。
将来に収益が変動する危険をリスクと呼んでいます。デリバティブは、将来の不確実性であるリスクそのものをやり取りする取引です。

 

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8.新型デリバティブ取引

 

デリバティブ取引にも新しいタイプの取引が登場しています。信用リスクや天候の変動リスクを売買する取引です。信用リスクを売買する取引をクレジットデリバティブ、天候の変動リスクを売買する取引を天候デリバティブと呼んでいます。

 

信用リスクというのは、貸付債権が返済されないかもしれないというリスクです。これをデフォルト(債務不履行)リスクといいます。クレジットデリバティブは、この信用リスクをヘッジすることを目的に考案された取引です。スワップやオプションの形式で取引されています。

 

天候デリバティブは、天候不順で損害を被る企業のリスクをヘッジする目的で考案された取引です。電力会社、ガス会社、農家への利用が見込まれています。取引形態はオプションですが、一種の保険です。天候デリバティブは、1997年頃から米国で店頭取引として取引がはじまったのですが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)に1999年に気温を対象とする先物、オプションの上場が始まっています。

 

こうした新型のデリバティブ取引は、取引条件が取引当事者間で任意で決められるため、取引価格(プレミアム)が公正かどうかを見極めることが難しいのが現状です。取引商品の定型化をはかり、市場での流動性をどう確保していくかが課題です。

 

 

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まとめ

1.デリバティブとは何か
  スワップ、フューチャー、オプションの総称
  予約取引の一種で、損益(差金)のみを受け渡す取引
2.先物取引とは何か
  取引所で差金決済を行う、定型商品の予約取引
  数%の証拠金で取引できる
  先物取引の特徴…商品の定型化、差金決済、取引所取引、証拠金制度の導入
3.スワップとは何か
  スワップ…等価のキャッシュ・フローを交換する取引の総称
  金利スワップ…同じ通貨間の異なる種類の金利を交換する取引
  通貨スワップ…異種通貨間の異なる種類の金利を交換する取引
4.オプションとは何か
  ある商品を買う、または売る権利の取引
  都合の良いときにだけ実行できる予約
  オプション損益…市場で反対取引をして、初めて損益が確定する
5.デリバティブ取引の市場
  先物は上場取引、スワップは店頭取引
6.デリバティブの利用法
  リスクヘッジ、投機、裁定
  フィナンシャルエンジニアリング
7.デリバティブの特色
  オフバランス取引…貸借対照表に記載されない取引
  レバレッジ…少ない資金で、想定元本相当の取引ができる
  リスクの取引…将来に収益が変動する危険がある
8.新型デリバティブ取引
  クレジットデリバティブ…信用リスクを売買するデリバティブ
  天候デリバティブ…天候リスクを売買するデリバティブ

 

 

問題と解答
  1. 派生商品は、●●取引(フューチャー)、スワップ取引、オプション取引の総称で、将来に●●(差金)部分のみをやりとりするところに特徴があります。
  2. (答え)先物、損益

  3. 先物取引には、商品が●●化している、決済期限日までに反対取引をして●●決済する、取引所取引である、証拠金制度を導入している、という4つの特徴があります。
  4. (答え)定型、差金

  5. スワップは●●という意味で、等価のキャッシュ・フローを交換する取引の総称です。金利スワップと●●スワップに分けられます。
  6. (答え)交換、通貨

  7. ●●スワップは、同じ通貨間の異なる種類の金利を交換する取引です。●●スワップは、異種通貨間の異なる種類の金利を交換する取引です。金利スワップでは通常元本の交換をしませんが、通貨スワップでは元本の交換をします。
  8. (答え)金利、通貨

  9. ●●ション取引とは、ある商品(為替、株式、債券)を将来の一定期日に、あるいは一定期間内に特定の価格で買う(または売る)ことができる●●の売買です。
  10. (答え)オプ、権利

  11. 相対取引のオプションの場合、オプションを行使しても、●●取引をしないと損益を確定できません。取引所取引のオプションの場合、オプション取引のみで●●が確定します。
  12. (答え)反対、損益

  13. デリバティブの対象商品のことを、原●●といいます。原資産の種類によってデリバティブが取引される市場が異なります。先物は上場市場、スワップは●●市場、オプションは上場市場と店頭市場で取引されています。
  14. (答え)資産、店頭

  15. デリバティブには、リスクへッジ(相場変動リスクを回避)、●●(デリバティブを単独で保有し、リスクをとって利益の獲得を狙う)、●●(デリバティブ商品の価格差を利用した鞘取り)の3つの利用方法があります。
  16. (答え)投機、裁定

  17. デリバティブは、貸借対照表(バランスシート)には載らないオフ●●ンス取引です。また、少ない資金で多額な資本を動かす取引であることから、●●レッジがあるといいます。
  18. (答え)バラ、レバ

  19. クレ●●●デリバティブは信用リスクを売買する取引で、スワップやオプションの形式で取引されています。●●デリバティブは天候の変動リスクを売買する取引で、電力会社、ガス会社、農家への利用が見込まれています。
  20. (答え)ジット、天候

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