よくわかる!金融用語辞典 【先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い】

先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い

先渡取引(さきわたしとりひき)
forward contract(フォワード・コントラクト)

先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い

先渡取引…店頭取引で、現物決済を行う
先物取引…取引所取引で、差金決済を行う

 

先渡取引は、将来の時点に、予め定めた価格で、ある商品を売買する約定をするという点では、先物取引と同じです。しかし、先渡取引は店頭取引で現物決済を行いますが、先物取引は取引所取引で差金決済を行うという点で、大きく異なります。

 

≪先渡取引と先物取引の違い≫

 

先渡取引と先物取引との大きな違いには、(1)取引場所 (2)決済方法 があります。

 

先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い

 

(1)取引場所

 

店頭で取引される相対取引なのか、取引所で取引される上場取引なのか、という点において、先渡取引と先物取引を分類できます。店頭取引なら先渡取引、取引所取引なら先物取引です。

 

◆先渡取引

 

先渡取引は、店頭で取引される相対取引です。次のような特徴があります。
(1)取引条件は自由に決められる
(2)流動性に乏しい市場であるため、決済期日前に決済できない
(3)委託証拠金をとらない
※委託証拠金をとらない、ということは、取引が履行(実行)されるかどうかが確実ではなく、信用リスクが高い取引であることを意味しています。

 

◆先物取引

 

先物取引は、取引所で取引される上場取引です。次のような特徴があります。
(1)取引条件は定型化されている
(2)流動性の高い市場のため、決済期日前に転売や買い戻しを行って決済できる
(3)証拠金制度により、取引の履行を確保している

 

(1)決済方法

 

実際に商品(資産)を受渡して現物決済するのか、商品を受渡しせずに差金決済するのか、という点における分類です。現物決済なら先渡取引、差金決済なら先物取引です。

 

◆取引の経済的効果

 

現物決済か差金決済かという決済方法の違いにより、取引の経済的効果も変わります。
先渡取引では現物(元本100%分)の資金が必要ですが、先物取引では数%の資金で済むからです。先物取引では、少ない資金で大きな取引ができます。これを、レバレッジ効果(てこの原理)と呼んでいます。

 

先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い

 

ただし、決済方法による分類には、次のような例外があることを承知しておく必要があります。
(1)先物取引にも、現物決済できるシステムがある。
(2)先渡取引にも、FRA(フォワード・レート・アグリーメント)のように、差金決済する取引が出現してきた。

 

≪用語の注意点≫

 

用語の使われ方にも注意が必要です。先渡取引は英語でフォワード・コントラクトといい、先物取引はフューチャーズ・コントラクトといいます。
しかし、日本では、店頭取引である為替予約取引のことを、先物為替予約と呼んできました。これは、当初、取引所で行われる先物取引がなかったためです。間違いやすいので、注意が必要です。そのため、後発の先物取引のことを通貨先物と呼んで、区別しています。

 

先渡取引と先物取引の違いをまとめると、下表のようになります。

 

先渡取引(2)先渡取引と先物取引の違い

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