金融大学(金融大学講座)

金融取引入門講座 第7回 金利の決定

1.金利と年利

 

≪金利とは何か≫

 

金利とは、お金の貸し借りに対する資金の使用料(賃借料)のことで、賃借料の元本に対する割合で表示したものです。借りたお金には、一定の利子がついています。この利子を元本で割ったものが金利です。

 

金利は、お金の貸し借りの値段を示す指標です。利子が金額で表示されていると、その利子が安いのか高いのか判断できません。そこで、元本の大きさに関係なく利子の大きさがわかるように、割合で表示したものが金利です。

 

例えば、銀行に100万円の預金をして、1年後に元利合計が101万円に増えたとします。
この場合、利子は1万円で、金利は1%です。
計算式では、 利子÷元本=金利 なので、1÷100=0.01となります。

 

≪年利とは何か≫

 

金利は、通常、1年あたりの割合で示します。これを年利といいます。期間が1年に満たない利子の年利を計算する場合、1年分の利子に引き直して計算します。

 

例えば、期間が3ヶ月だったら、4倍(12÷3=4)して計算します。
借入期間を90日、1年を360日とする場合は、360÷90=4と計算します。
1年を365日とする場合の計算式では、年利=利子÷元本×365÷借入日数 となります。
上記の金利の計算式も、正式には 1÷100×365÷365=0.01 と計算します。

 

年利を計算する場合に、1年を360日として計算する国と、365日として計算する国があります。日本では、
1年を365日として計算しています。

 

 

 

2.金利の決まり方

 

金利には、(1)規制金利、(2)自由金利、の2種類があります。

 

≪規制金利と自由金利≫

 

規制金利とは、財務省(旧大蔵省)、日本銀行などの政府が決定する金利のことをいいます。規制金利の代表は公定歩合です。公定歩合は、日本銀行が民間銀行にお金を貸し出すときの金利です。

 

一方、自由金利とは、市場の需給関係で決定される金利のことをいいます。

 

金利の決定

 

日本の金利は、これまで、規制金利を中心に決められてきましたが、1994(平成6)年以降は金融の自由化が進められ、自由金利を中心に金利が決定されるようになってきています。

 

◆自由金利の決定

 

自由金利は、お金に対する需要と供給の大きさで決まります。お金を借りる人が貸す人より増えると、貸し出すお金が足りなくなり、金利は上がります。逆に、お金を貸す人が借りる人より増えると、お金が余り、金利は下がります。

 

お金をどのような金融資産(現金、預貯金、債券など)で保有するかは、金利の水準で決まってきます。金利が高ければ、お金を現金で保有せずに、預貯金しておく人が増えます。逆に、金利が低ければ、お金を現金で保有して、モノの購入に充てる人が増えます。

 

給与などの所得を現金で保有するのは、モノ(財)やサービスを購入する予定があるからです。お金をすぐに使う予定がなければ、利子の付く金融資産で運用します。

 

お金は、金利の高低により、現金と利子の付く金融資産(預貯金、債券など)の間を行き来しています。

 

金利の決定

 

◆上限規制(時限措置)

 

日本銀行では、2002(平成14)年4月から2003(平成15)年3月末まで、金融機関の普通預金金利に上限を設ける金利規制を行いました。これは、ペイオフ凍結解除の影響で、信用力の低い金融機関が顧客や預金を集める目的で、普通預金の金利を無理に高く設定する可能性があると判断されたためです。

 

ペイオフの全面解禁が2005(平成17)年4月まで先送りされたため、2003(平成15)年2月14日の政策委員会・金融政策決定会合で、上限規制の期限を2年延長し、2005年3月末までとすることが決められました。

 

 

 

3.金利と景気

 

金利が高ければ、現金で保有せずに預貯金をしておく人が増えます。逆に、金利が低ければ、現金で保有してモノの購入にあてる人が増えます。人々がお金を現金で保有するのは、モノの購入にあてるためです。

 

≪経済活動の循環≫

 

人々がモノの購入を増やすと、モノを生産する会社にお金がいき、会社から従業員へ給与としてお金が流れます。経済活動が活発になり、金回りがよくなります。モノがよく売れ、家計の所得が増え、景気が良くなります。

 

景気が良くなると、モノを生産するための設備投資が活発になり、お金を借りる企業が増え、金利が上昇します。

 

金利が上昇すると、預貯金したり債券などを購入する人が増え、人々がモノを購入する資金が不足します。

 

人々がモノの購入を減らすと、モノを生産する会社にお金がいかなくなります。経済活動が不活発になり、金回りが悪くなります。モノが売れなくなり、家計の所得が減り、景気が悪くなります。

 

景気が悪くなると、会社も事業の拡大を控えます。お金を借りる企業が減ると、銀行は金利を下げてお金を借りてもらおうとします。

 

金利が下がると、預貯金や債券を保有する人が減り、市場に現金が出回ります。市場に出回ったお金は、モノの購入に振り向けられ、景気が良くなります。

 

金利の決定

 

この経済活動の循環をうまく機能させるために、金利のコントロールが重要なのです。

 

 

 

4.金融資産と金利

 

≪債券価格と金利の関係≫

 

金利が上昇すると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる関係があります。

 

金利の決定

 

金利が上昇すると、他の金融商品(預金)で運用した方が有利になります。投資家は債券を売って他の金融資産に投資するため、債券価格は下がります。

 

逆に、金利が下がると、他の金融商品(預金)より債券で運用した方が有利になります。投資家は他の金融商品を売って債券を買うため、債券価格は上がります。

 

≪株価と金利の関係≫

 

金利が上昇すると株価は下がり、金利が下がると株価は上がる関係があります。

 

金利の決定

 

債券と同様に、金利が上昇すると、他の金融商品(預金)で運用した方が有利になります。株式市場に流れる資金が減り、株価は下がります。

 

逆に、金利が下がると、他の金融商品(預金)より株式で運用した方が有利になります。株を買う人が増えるため、株式市場に流れる資金が増え、株価は上がります。

 

※実際の株価は、複数の要因が影響するため、上記のように動くとは限りません。

 

 

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まとめ

年利の計算
  年利 = 利子 ÷ 元本 × 365 ÷ 借入日数
金利の種類
  規制金利…財務省、日本銀行等の政府が決定する金利
  自由金利…市場の需給関係で決定される金利
債券と金利の関係
  金利が上昇すると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる
株価と金利の関係
  金利が上昇すると株価は下がり、金利が下がると株価は上がる

 

 

問題と解答
  1. 利子を元本で割ったものが●●で、通常、1年あたりの割合で示します。 これを●●といいます。
  2. (答え)金利、年利

  3. 期間が1年に満たない利子の年利は、1年分の利子に引き直して計算します。日本では、1年を●●●日として計算しています。
  4. (答え)365

  5. ●●金利は、財務省(旧大蔵省)、日本銀行等の政府が決定する金利のことです。公定●●は規制金利の代表で、日銀が民間銀行に貸し出す場合の金利です。
  6. (答え)規制、歩合

  7. ●●金利は、市場の需給関係で決定される金利のことです。お金に対する需要と●●の大きさで、金利が決まります。
  8. (答え)自由、供給

  9. 日本の金利は●●金利を中心に決められてきましたが、1994(平成6)年以降は金融の自由化が進められ、●●金利を中心に金利が決定されるようになってきています。
  10. (答え)規制、自由

  11. お金は、●●の高低により、現金と利子の付く金融資産(預貯金、債券など)の間を行き来しています。金利が高ければ現金で保有せずに預貯金をしておく人が増え、金利が低ければ現金で保有して物の購入にあてる人が増えます。
  12. (答え)金利

  13. 金利が●●すると、預貯金したり債券などを購入する人が増え、人々がモノを購入する資金が不足します。人々がモノの購入を減らすと金回りが悪くなり、家計の所得が減り、景気が悪くなります。
  14. (答え)上昇

  15. 経済活動の循環をうまく機能させるために重要なのは、●●のコントロールです。

    景気上昇→金利上昇→景気後退→●●下降

  16. (答え)金利、金利

  17. ●●が上昇すると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる関係があります。
  18. (答え)金利

  19. ●●が上昇すると株価は下がり、金利が下がると株価は上がる関係があります。
  20. (答え)金利

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