よくわかる!金融用語辞典 【欧州安定メカニズム(ESM)】

欧州安定メカニズム(ESM)

欧州安定メカニズム(おうしゅうあんていめかにずむ)
European Stability Mechanism(ヨーロピアン・スタビリティー・メカニズム)
(ESM)
欧州金融安定基金(おうしゅうきんゆうあんていききん)
European Financial Stability Facility(ヨーロピアン・フィナンシャル・スタビリティー・ファシリティー)
EFSF

欧州安定メカニズム(ESM)

【欧州安定メカニズム(ESM)】

 

ESMは、ユーロ圏の財政危機に陥った国を救済する制度で、国際通貨基金(IMF)の欧州版とも言われています。

 

ESMでは、財政危機に陥ったユーロ圏の国の申請に基づいて、支援(融資や銀行支援、国債の買い支えなど)を行います。一方、支援を受けた国には、財政再建や構造改革などの厳しい条件が課されます。

 

ESMは、ユーロ圏17カ国の拠出金を裏付けに債券を発行し、資金を調達します。
支援能力は、最大7000億ユーロ(約70兆円)です。最大拠出国はドイツで、27.1%(1900億ユーロ)を負担します。

 

【ユーロ圏とは?】

 

ユーロ圏とは、EU加盟国のうち、ユーロを単一通貨として共有する地域・圏内のことで、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、アイルランド、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、ギリシャ、スロベニア、マルタ、キプロス、スロバキア、エストニアの17カ国です。

 

【EFSF→ESMに移管】

 

欧州金融安定基金(EFSF)は、EU(欧州連合)が設立した制度です。ユーロ圏の財政難に陥った国に代わって、EFSFが債券を発行し、資金を調達します。これまでに、アイルランド、ポルトガル、ギリシャの財政再建を支援しています。

 

当初、EFSFは、時限的措置として2010年5月から2013年6月の予定で導入されました。しかし、財政危機に恒久的に対応するため、ESMが設立されました。

 

EFSFが終了する2013年6月までは、ESMと併存し、その後はESMに移管されます。

 

【ESMの発足はいつ?】

 

当初、ESMは2012年7月に設立が予定されていました。
しかし、ドイツ国内で強い反発が起こり、議員や学者、一般国民など37000人に上る原告が、ESMは憲法違反であるとして、ドイツ連邦憲法裁判所に提訴しました。

 

ESMが発足するには、出資比率で90%以上の国の批准が必要とされるため、最大出資国であるドイツの批准が待たれました。

 

2012年9月12日、独憲法裁判所は、ESMを合憲とする判断を下しました。ただし、ESMへの拠出は、ドイツ議会の承認がない限り、1900億ユーロを上限とすること、という条件を明記しました。

 

この結果を受けて、9月13日、ドイツのガウク大統領がESM関連法律に署名しました。
ESMは、10月8日に活動を開始する見通しです。

 

【銀行監督一元化案】

 

9月12日、EUの欧州委員会は、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の銀行を一括して規制する「銀行監督一元化案」を正式に発表しました。

 

欧州中央銀行(ECB)は、2013年から段階的に域内の銀行を監督対象としていき、最終的には、ユーロ圏の全銀行(約6000)を監督下に置くことを目指します。

 

現状ではESMは銀行に直接投資できませんが、銀行監督の一元化が実現すれば、銀行に直接資本を注入するための前提条件となると見られています。

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参考ファイル

 

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