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欧州通貨統合

                         

ユーロ…欧州連合(EU)の通貨統合により誕生した欧州単一通貨

                

ヨーロッパ諸国は、1951年のパリ条約に始まり、マーストリヒト条約などを経て、長い年月をかけて欧州統合を目指してきました。

欧州統合は、市場や通貨だけではなく、政治を含めた統合を目的にしたものです。欧州は、20世紀に2度の世界大戦を行った経験から、戦争を起こさず、欧州各国で協調し、平和への道を歩むことを最終目的として努力を続けてきました。

そして、「1つの市場、1つの通貨」を目標とした欧州統合を実現させました。

≪欧州単一通貨ユーロ導入≫

1999年1月1日、欧州単一通貨「ユーロ(euro)」が導入されました。欧州連合(EU)に加盟する15カ国のうち、11カ国が参加国となりました。

ユーロを単一通貨として共有する地域・圏内のことを、ユーロ圏と呼んでいます。

ユーロ圏(参加11カ国)の人口は約2.9億人、国内総生産(GDP)は約6.5兆ドルとなりました。これは米国に迫る経済力です。

経済規模(1999年)

人口

名目GDP

ユーロ圏(11カ国)

2.9億人

6.5兆ドル

米国

2.7億人

9.3兆ドル

日本

1.3億人

4.3兆ドル

この時点でのユーロは帳簿上の通貨にすぎず、銀行間決済など、現金以外の取引に使用されました。参加各国の通貨をユーロに切り換えるために必要な時間を考慮して、1999年1月1日から2001年12月末までが、旧通貨からユーロへの移行期間となりました。

ユーロと参加11カ国の通貨の換算レートは、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が、1998年12月31日に決定し、固定しました。

1999年1月1日 欧州単一通貨 ユーロ導入

参加国(11カ国)

ベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、フィンランド、
イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、 オーストリア、ポルトガル

不参加国(4カ国)

イギリス、デンマーク、スウェーデン、ギリシャ

≪ユーロ現金の流通開始≫

2002年1月1日、ユーロ現金(紙幣・硬貨)の流通が始まりました。

欧州通貨統合の参加国は、欧州連合(EU)15カ国のうち12カ国となりました。
1999年のユーロ導入時に不参加だった4カ国のうち、ギリシャは参加国に加わりましたが、イギリス、デンマーク、スウェーデンは、ユーロ参加を見送りました。

ユーロ通貨は、銀行や商店などを経由して3億300万人の手に渡り、旧通貨は回収されます。参加12カ国の各国通貨は、遅くとも2月28日までに使用期限が終了し、ユーロのみが法定通貨となります。

新発行されるユーロ通貨は総額6487億ユーロ(約75兆円)で、紙幣145億枚、硬貨510億枚です。ユーロの補助通貨は、セントとなります。
発行されるユーロ紙幣は7種類(1、10、20、50、100、200、500)で、ユーロ硬貨は8種類(1、2、5、10、20、50セントと、1、2ユーロ)です。

≪EU加盟15カ国のうち、通貨統合参加は12カ国≫

国  名

EU加盟

通貨統合参加

旧通貨/対ユーロ交換レート

ドイツ

1951年4月
(旧西ドイツ)

1999年1月

ドイツ・マルク(DEM)
1.95583

フランス

1951年4月

1999年1月

フランス・フラン(FRF)
6.55957

イタリア

1951年4月

1999年1月

イタリア・リラ(ITL)
1936.27

オランダ

1951年4月

1999年1月

オランダ・ギルダー(NLG)
2.20371

ベルギー

1951年4月

1999年1月

ベルギー・フラン(BEF)
40.3399

ルクセンブルグ

1951年4月

1999年1月

ルクセンブルグ・フラン(LUF)
40.3399

アイルランド

1973年1月

1999年1月

アイルランド・ポンド(IEP)
0.787564

スペイン

1986年1月

1999年1月

スペイン・ペセタ(ESP)
166.386

ポルトガル

1986年1月

1999年1月

ポルトガル・エスクード(PTE)
200.482

オーストリア

1995年1月

1999年1月

オーストリア・シリング(ATS)
13.7603

フィンランド

1995年1月

1999年1月

フィンランド・マルカ(FIM)
5.94573

ギリシャ

1981年1月

2001年1月

ギリシャ・ドラクマ(GRD)
340.750

イギリス

1973年1月

不参加

   

デンマーク

1973年1月

不参加

   

スウェーデン

1995年1月

不参加

   

≪マーストリヒト条約(欧州連合条約)≫

マーストリヒト条約は、欧州連合(EU)創設のための条約で、3つの柱からできています。
(1)欧州共同体(EC)の改正 … 通貨統合を目的とする
(2)共通外交安全保障政策 … 外交・安全保障における欧州一体化を目的とする
(3)司法・内務協力 … 警察協力・難民対策などにおける各国協調を目的とする

マーストリヒト条約では、通貨統合の計画や、通貨統合参加に対する国内経済の一定基準が定められ、1991年12月合意、1993年11月発効となりました。

なお、マーストリスト条約は、1997年6月に合意したアムステルダム条約(新欧州連合条約)で強化され、2000年12月に合意したニース条約でEU加盟国拡大を踏まえた改正が行われています。

通 貨 統 合 参 加 基 準

金利

長期金利が、物価上昇率(インフレ率)の最低3カ国(加盟国中)の
平均値から2%以内であること

為替

ERM2(為替相場変動メカニズム)に参加していること
ERM2の通常変動率以内を、最低2年間維持すること
為替相場の切り下げをしていないこと

財政

財政赤字が、国内総生産(GDP)の3%以内であること

財政

政府債務残高が、国内総生産(GDP)の60%以内であること

物価

物価上昇率(インフレ率)が、インフレ率の最低3カ国(加盟国中)の
平均値から1.5%以内であること

イギリス、スウェーデン、ギリシャは、ERM2に不参加だったため、1999年1月のユーロ導入国決定段階では、参加基準を満たしていませんでした。

ギリシャは、他の経済基準も達成できていませんでしたが、その後の政策努力により基準達成が認められ、2001年1月1日に12番目の参加国となりました。

◆ERM2(為替相場変動メカニズム)
ERM2は、通貨統合非参加国(EU加盟国)の通貨と、ユーロ間の為替相場を一定の変動幅で連動させるものです。為替相場を安定させ、非参加国に通貨統合採択を促進させることを目的としています。

ERM2は、1979年に設立された欧州通貨制度のERMにかえて、1999年1月1日から実施されました。以前のERMと区別するために、ERM2とか、新ERM、ERMUなどと表現されています。

ERM2参加国は、対ユーロの中心レートが設定され、変動幅は上下15%となります。15%を超えた場合には、自動的に無制限の介入が行われます。
通貨統合参加国になると、対ユーロのレートは固定されます。なお、ERM2への参加は任意となっています。

※欧州通貨制度(EMS、1979年設立)は、通貨や経済の統合を目標として、欧州通貨単位ECUを創設し、ERM(為替相場メカニズム)を導入しました。
ERMは、EC加盟国の為替相場を一定の変動幅に抑えるため、各国の中央銀行に無制限の市場介入を義務づけました。変動幅は中心レートから上下2.25%でしたが、後に15%に拡大されました。

≪通貨統合による影響≫

通貨統合により、ユーロ圏内の為替手数料がなくなり、貿易取引が増加します。
ユーロが国際的に使用されれば、為替変動リスクがなくなり、企業は資金の調達・運用がしやすくなるなどのメリットがあります。

ユーロ圏内の物価はユーロ建てで表示されるため、モノやサービスの価格差・労働者賃金の格差が明らかになります。消費者は物価の安い国で購入するため、企業間競争が起こると考えられます。ユーロ圏内の一般市民も、商品の値下げ競争が起こることを期待しています。しかし、企業間競争が激化すれば、弱小企業の倒産・失業者の増加など、厳しい雇用環境に直面することなります。

また、各国政府は、通貨統合により、独自の金融政策がとれなくなり、調整機能を失うことになります。これまで各国の中央銀行が行ってきた金融政策や為替操作などは、欧州中央銀行(ECB)が行います。

◆欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)

通貨統合参加国の金融政策・為替操作と、ユーロの発行を行う機関です。物価の安定を目的に1998年6月1日に設立されました。本部はドイツのフランクフルトにあります。ECBの最高意思決定機関は、ECB政策理事会(ECB理事会ともいう)です。ユーロ導入直前の1998年12月には、ユーロ圏(11カ国)に適用する政策金利をすべて年3.0%に統一する政策を行いました。

≪ユーロ圏の拡大≫

EUの規模が拡大する動きが見られ、ユーロ圏は、米国やアジアを脅かす経済圏に成長すると予想されます。

2004年5月には、エストニア、キプロス、スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、マルタ、ラトビア、リトアニアの10カ国が加盟に加わり、EU加盟国は25カ国に拡大されます。

◆補足

年 月

欧 州 連 合 ( E U ) の 歴 史

1951年 4月

パリ条約調印。欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)発足

1957年 3月

ローマ条約調印。欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(ユーラトム)発足

1967年 7月

ECSC、EEC、ユーラトムが統合し、欧州共同体(EC)発足

1979年 3月

欧州通貨制度(EMS)発足

1987年 7月

単一欧州議定書発効 (単一欧州市場を目標)

1991年12月

マーストリヒト条約(欧州連合条約)合意

1993年 1月

EC市場統合発足

1993年11月

マーストリヒト条約発効、ECは欧州連合(EU)に改称

1994年 1月

欧州通貨機構(EMI)設立 (欧州中央銀行(ECB)の前身)

1997年 6月

アムステルダム条約(新欧州連合条約)合意

1998年 6月

欧州中央銀行(ECB)設立

1999年 1月

欧州単一通貨ユーロ導入

2000年12月

ニース条約合意

2001年 2月

ニース条約調印

2002年 1月

ユーロ現金(紙幣・硬貨)の流通開始

2004年 5月

10カ国がEUに加盟予定(EU加盟国は25カ国に拡大へ)

         

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