|
不良債権とは、企業の破たんや経営悪化などの理由から、回収困難になる可能性が高い貸出金のことをいいます。
バブル時代、銀行は土地や株を担保にして、企業に大量の資金を貸付けました。ところが、バブルが崩壊して企業の経営が悪化し、銀行にお金を返せなくなったため、銀行は担保を差し押さえようとしました。しかし、バブル時代に担保とした土地や株は、バブル崩壊とともに下落してしまったため、いくら担保を差し押さえても貸したお金は取り戻せませんでした。こうして、銀行は巨額の不良債権を抱え、経営を悪化させてしまいました。不良債権問題は、日本経済を脅かす大問題に発展しています。
景気低迷が続き、新たな不良債権がどんどん発生しています。銀行も不良債権の処理を行ってはいるのですが、不良債権額は増加する一方です。
≪債権の分類≫
銀行の債権は、資金の返済能力によって、正常先・要注意先・破たん懸念先・実質破たん先・破たん先の5つに分類されます。
|
債権の分類(金融再生法開示債権) |
|
破たん先 |
法的・形式的な経営破たんに陥っている債務者 |
不良債権 |
|
実質
破たん先 |
法的・形式的な経営破たんには陥っていないが、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがないなど、実質的に経営破綻に陥っている債務者 |
|
破たん
懸念先 |
経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、再建計画の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きい債務者 |
|
要注意先 |
貸出条件に問題がある債務者、債務の履行状況に問題がある債務者、業況が低調ないし不安定な債務者、財務内容に問題がある債務者など、今後の管理に注意が必要な債務者 |
|
要管理先 |
要注意先のうち、債務の履行を3ヶ月以上延滞または貸出条件を緩和している債務者 |
|
要管理先以外 |
要注意先のうち、要管理先以外の債務者 |
健全債権 |
|
正常先 |
業績が良好で、財務内容にも問題がない債務者 |
≪不良債権のオフバランス化≫
2001(平成13)年4月6日、政府・与党の緊急経済対策で「不良債権のオフバランス化」を決定しました。これは、破たん懸念先以下の不良債権を、新規発生分は3年以内、既存分は2年以内に帳簿から消し去る最終処理を行うというものです。
|
銀行の債権
|
正常先
|
|
|
要注意先
|
|
破たん懸念先
|
不良債権のオフバランス化
新規発生分は3年以内、既存分は2年以内に
帳簿から消し去る最終処理を行う
|
|
実質破たん先
|
|
破たん先
|
不良債権を帳簿から切り離してオフバランス化する方法を、直接償却といいます。直接償却には、(1)銀行の債権放棄、(2)法的整理(会社更正法の適用)、(3)債権の売却 の3つの方法があります。
しかし、どの方法をとっても銀行や企業の負担は相当なものになります。銀行がオフバランス化によって負担する費用は年間の業務純益を上回るものとなり、また企業も倒産やリストラを余儀なくされることになります。
不良債権の解消に伴い失業者が増えると、景気がさらに悪化し、また新たな不良債権を生み出してしまうという懸念が強まっています。
参考 : 直接償却と間接償却
≪不良債権の開示≫
不良債権の開示には、金融再生法に基づいて貸出金・支払承諾見返などを対象に開示される金融再生法開示債権と、銀行法に基づいて貸出金のみを対象に開示されるリスク管理債権があります。
|
全国民間金融機関の不良債権残高
(単位:兆円) |
全国銀行 |
都市銀行
長期信用銀行
信託銀行 |
地方銀行
第二地方銀行 |
|
2000年9月
(平成12年) |
金融再生法開示債権 |
32.9 |
19.9 |
13.0 |
|
リスク管理債権 |
31.8 |
19.3 |
12.5 |
|
個別貸倒引当金 |
7.9 |
4.6 |
3.3 |
|
2001年3月
(平成13年) |
金融再生法開示債権 |
33.6 |
20.0 |
13.6 |
|
リスク管理債権 |
32.5 |
19.3 |
13.2 |
|
個別貸倒引当金 |
7.2 |
3.9 |
3.3 |
|
2001年9月
(平成13年) |
金融再生法開示債権 |
36.8 |
22.5 |
14.2 |
|
リスク管理債権 |
35.7 |
21.8 |
13.9 |
|
個別貸倒引当金 |
7.1 |
3.8 |
3.3 |
|
2002年3月
(平成14年) |
金融再生法開示債権 |
43.2 |
28.4 |
14.8 |
|
リスク管理債権 |
42.0 |
27.6 |
14.4 |
|
個別貸倒引当金 |
7.9 |
4.7 |
3.2 |
|
2002年9月
(平成14年) |
金融再生法開示債権 |
40.1 |
25.1 |
15.0 |
|
リスク管理債権 |
39.2 |
24.6 |
14.6 |
|
個別貸倒引当金 |
7.2 |
3.9 |
3.3 |
|
2003年3月
(平成15年) |
金融再生法開示債権 |
35.3 |
20.7 |
14.7 |
|
リスク管理債権 |
34.8 |
20.4 |
14.4 |
|
個別貸倒引当金 |
6.1 |
3.0 |
3.1 |
|
2003年9月
(平成15年) |
金融再生法開示債権 |
31.6 |
17.7 |
13.9 |
|
リスク管理債権 |
31.2 |
17.5 |
13.7 |
|
個別貸倒引当金 |
5.5 |
2.5 |
3.0 |
|
2004年3月
(平成16年) |
金融再生法開示債権 |
26.6 |
13.8 |
12.8 |
|
リスク管理債権 |
26.2 |
13.6 |
12.6 |
|
個別貸倒引当金 |
5.4 |
2.6 |
2.9 |
|
2004年9月
(平成16年) |
金融再生法開示債権 |
23.8 |
12.2 |
11.6 |
|
リスク管理債権 |
23.2 |
11.8 |
11.4 |
|
個別貸倒引当金 |
6.1 |
3.4 |
2.7 |
|
2005年3月
(平成17年) |
金融再生法開示債権 |
17.9 |
7.6 |
10.4 |
|
リスク管理債権 |
17.5 |
7.3 |
10.2 |
|
個別貸倒引当金 |
4.4 |
2.0 |
2.4 |
|
2005年9月
(平成17年) |
金融再生法開示債権 |
15.9 |
6.2 |
9.7 |
|
リスク管理債権 |
15.6 |
6.0 |
9.6 |
|
個別貸倒引当金 |
3.8 |
1.6 |
2.2 |
|
2006年3月
(平成18年) |
金融再生法開示債権 |
13.4 |
4.7 |
8.7 |
|
リスク管理債権 |
13.1 |
4.5 |
8.6 |
|
個別貸倒引当金 |
2.9 |
0.9 |
2.0 |
|
2006年9月
(平成18年) |
金融再生法開示債権 |
12.3 |
4.0 |
8.4 |
|
リスク管理債権 |
12.1 |
3.8 |
8.3 |
|
個別貸倒引当金 |
2.7 |
0.7 |
1.9 |
|
2007年3月
(平成19年) |
金融再生法開示債権 |
12.0 |
4.1 |
7.8 |
|
リスク管理債権 |
11.8 |
4.0 |
7.8 |
|
個別貸倒引当金 |
2.7 |
1.0 |
1.8 |
|
2007年9月
(平成19年) |
金融再生法開示債権 |
11.9 |
4.1 |
7.8 |
|
リスク管理債権 |
11.6 |
3.9 |
7.7 |
|
個別貸倒引当金 |
2.8 |
1.0 |
1.7 |
|
2008年3月
(平成20年) |
金融再生法開示債権 |
11.4 |
3.9 |
7.5 |
|
リスク管理債権 |
11.2 |
4.0 |
7.5 |
|
個別貸倒引当金 |
2.3 |
0.7 |
1.6 |
(金融庁公表資料より作成)
◆貸倒引当金
貸倒引当金とは、銀行が、融資先企業の資金返済能力(経営状態、返済状況、回収の可能性など)を判断し、債権が回収できなくなる可能性(不確実性)に備えて計上する引当金のことをいいます。
正常先・要注意先に分類される債権に対して債権区分ごとに計上する引当金を一般貸倒引当金といい、破たん懸念先・実質破たん先・破たん先に分類される債権に対して個別債務者ごとに計上する引当金のことを個別貸倒引当金といいます。
|
銀行の債権
|
正常先
|
一般貸倒引当金
債権区分ごとに計上
|
|
要注意先
|
|
破たん懸念先
|
個別貸倒引当金
個別債務者ごとに計上
|
|
実質破たん先
|
|
破たん先
|
参考 : 整理回収機構 特別検査(2002年4月12日結果公表) 特別検査(2003年4月25日結果公表)
|