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信用取引には、特有の費用がかかります。この費用は、買い方と売り方で異なっています。信用取引の採算を見る場合に、現物取引との違いにも注意が必要です。
≪買い方の場合≫
買い方には、(1)委託証拠金の調達コスト、(2)日歩(支払金利)、(3)信用管理費、(4)名義書換料、(5)委託手数料、(6)消費税、(7)決済益への課税等の費用がかかります。 一方、(8)逆日歩、(9)配当金相当額、(10)新株引受権価格、(11)決済益等が収入の要因として挙げられます。
買い方の費用
(1)委託証拠金の調達コスト 信用取引を行う際には、売り方も買い方も委託証拠金が必要です。委託証拠金を銀行から借りてくるとすると、その支払金利が資金の調達コストとなります。このコストは、証券会社へ払い込む費用ではないので無視しがちですが、取引の採算を考える際には重要な要因です。
(2)日歩(ひぶ) 株式の買い方は、株式の買い付けに必要な資金を証券会社から借りています。この借入資金に対する支払金利を日歩と呼んでいます。
(3)信用管理費 信用取引の建玉に対して、約定日から起算して1ヶ月目ごとに、買付株数または売付株数に対して証券会社が徴収する手数料です。1株につき10銭の手数料が必要です(但し、最低100円、最高1,000円)。
(4)名義書換料(権利処理手数料)
信用取引により株を買い付けている場合に、証券金融会社が顧客から預かっている株券の名義書換の手続きをする費用です。1単元あたり50円の手数料が必要です。
(5)委託手数料 差金決済で現物の株式を売買する場合、証券会社にその売買を委託しているので、手数料が必要です。決済を現引き(品受け)や現渡し(品渡し)で行う場合には、売買の委託がないので手数料はかかりません。
(6)消費税 名義書換手数料と委託手数料には、5%の消費税がかかります。
(7)決済益への課税 信用取引を決済して利益が出た場合には、譲渡益税として課税されます。課税方法として、源泉分離課税か申告分離課税のどちらかを選ぶことができます。 源泉分離課税は、売建玉の約定金額の5.25%をみなし利益として、そのみなし利益の20%に課税しています。したがって、譲渡益税は、売建玉の約定金額の1.05%(5.25%×20%)となります。 一方、申告分離課税は、実質的な利益の26%に課税するものです。申告分離課税は確定申告が必要で、証券会社から税務署に支払調書が提出されます。申告分離課税は、源泉分離課税より税率が高いのですが、他の取引の損益を通算したものに対して課税されるので、他で損失がでている場合は、納税額を少なくできるのです。
買い方の収入
(8)逆日歩 信用取引では、売り方に対する貸株注文が買い方に対する融資を上回ると、売方に貸し付ける株券が不足するため、証券金融会社は、貸株市場等から株式を借りてきます。この時の品貸料は、売り方全員から徴収され、証券金融会社と買い方(株券の貸し手)全員に支払うことになります。したがって、逆日歩は、買い方には収入となります。ただし、逆日歩は、常時発生する収入ではありません。
(9)配当金相当額 買い方の保有する株式は、証券金融会社が預かっています。買付株式に配当が支払われると、配当金相当額を受け取ることができます。
(10)新株引受権価格 株式分割などにより新株引受権が与えられる場合は、買建単価を引き下げる形で還元されます。
(11)決済益 信用取引を反対売買により決済した場合に生じる利益です。株式が期待どおりに値上がりした場合に発生する利益です。信用取引から期待される本来の収入です。
≪売り方の場合≫
売り方の費用には、(1)委託証拠金の調達費用、(3)信用管理費、(5)委託手数料、(6)消費税、(7)決済益の課税、(12)逆日歩、(13)貸借取引貸株料、(14)配当相当額支払、(15)新株引受に対する費用負担 などがあります。 これに対する収入には、(16)日歩、(17)決済益 などがあります。 ※(1)、(3)、(5)、(6)、(7)は、買い方の費用と共通です。
売り方の費用
(12)逆日歩 信用取引では、売り方に対する貸株注文が買い方に対する融資を上回ると、証券金融会社が外部から株式を借りてきます。この時の品貸料は、売り方全員から徴収され、証券金融会社と買い方(株券の貸し手)全員に支払うことになります。ただし、常時、発生する費用ではありません。
(13)貸借取引貸株料 空売り規制の一環として、2002年5月7日から導入された、売り方の貸株に対する手数料です。逆日歩と異なり、買い方が受け取れるものではありません。
(14)配当相当額支払 買い方の株式に配当が支払われる場合、売り方が配当金相当額を支払います。
(15)新株引受に対する費用負担 株式分割などで買い方に新株引受の権利が生じた場合、売り方が負担することになっています。 売建単価を引下げることで調整しています。
売り方の収入
(16)日歩 日歩(融資残高>貸株残高)が発生している場合には、買い手から日歩を受け取れることになっていますが、現在は、0%に据え置かれています。
(17)決済益 信用取引を反対売買により決済した場合に生じる利益です。株式が期待どおりに値下がりした場合に発生する利益です。
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買 い 手 |
売 り 手 |
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費用 |
委託証拠金の調達費用 |
委託証拠金の調達費用 |
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日歩 2.1%p.a.(融資残高>貸株残高) |
逆日歩 (貸株残高>融資残高) |
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信用取引貸株料 1.15% (2002.5.7〜) |
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信用管理費 1株あたり0.1円 |
信用管理費 1株あたり0.1円 |
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配当金相当額支払 |
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名義書換料(1単元あたり50円) |
新株引受(売建単価引下げで調整) |
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委託手数料 |
委託手数料 |
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消費税(委託手数料、名義書換料の5%) |
消費税(委託手数料の5%) |
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決済益に課税 源泉分離課税(約定金額の1.05%)・申告分離課税(決済益の26%) |
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収入 |
逆日歩 (貸株残高>融資残高) |
日歩 0% (融資残高>貸株残高) |
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配当金相当額受取 |
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新株引受(買建単価引下げで還元) |
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決済益(値上がりした場合) |
決済益(値下がりした場合) |
信用取引の費用と収入は、上記の表のように要因がお互いに入りこんでいて複雑です。採算を考える場合には、表計算ソフトなどを使ってシュミレーションするとよいでしょう。
参考 : 信用取引(1)信用取引とは何か (2)信用取引の決済 (4)委託保証金 (5)日歩と逆日歩 (6)権利処理
(7)信用取引の種類と銘柄 (8)貸借取引 (9)信用取引の利用法 (10)信用取引残高の見方
(11)信用取引の規制 (12)空売り規制
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