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≪取得原価主義会計≫
日本の会計制度は、原価(取得時の価格)を基準として、資産や負債を評価する会計を採り入れています。この資産の評価基準のことを「原価主義会計」、または、「取得原価主義会計(しゅとくげんかしゅぎかいけい)」といいます。
◆実現主義
取得原価主義会計では、資産取得時の原価を貸借対照表に計上し、資産売却時に損益を損益計算書に計上します。決算期末の貸借対照表には、資産取得時の原価で計上されるため、資産価格の変動を読み取ることはできません。収益の認識は、資産を売却して収益が確定した時点に行います。この損益の認識基準のことを「実現主義」といいます。
◆取得原価主義会計の長所
損益の評価基準に実現主義を採る取得原価主義会計は、実際の取引により確定した収益から税金や配当の算定を行います。取得原価主義会計で計上される価格は、実際の取引額であるため、客観的に明らかな数字で信頼性があります。配当や課税金額に関心がある株主や課税当局者は、損益計算に信頼性のある取得原価主義会計を重要視しています。
◆取得原価主義会計の短所
取得原価主義会計では、金融商品のように価格変動が激しい資産は、資産売却時まで損益が計上されないため、現在の資産価値とはかけ離れた数値が期末の貸借対照表に表示されることが起こります。その結果、企業の財政状態を表す情報を投資家が得られない、といった事態を招きます。
また、業績が悪いときに、事業主に益出しという利益操作を行う余地を与えます。時価が簿価より高い有価証券を売却して、売却収益を実現することを「益出し」といいます。本業が不振でも、含み益がある資産を売却することで利益を捻出することができます。
そのほか、財政状態の正しい情報を経営陣がもたないために、適切なリスク管理を怠ってしまう、という問題も発生しています。
≪時価主義会計≫
貸借対照表上のすべての資産・負債を時価で再評価する会計のことを「時価主義会計」といいます。
時価主義会計では、評価差額(取得原価と時価評価額の差)を損益として認識します。したがって、損益計算書には、本業による損益のほかに、保有資産に対する時価の変動による損益も反映することになります。
時価主義会計は、企業清算時やインフレに対応するための会計手法です。企業が解散する場合に、すべての資産・負債を売却時の時価で評価して清算手続きを行う会計手法を「売却時価会計」と呼んでいます。また、物価上昇(インフレ)時に、一般物価指数によりすべての資産・負債を再評価して資産価値を修正する会計手法を「インフレーション会計」と呼んでいます。
◆時価主義会計の長所
資産の評価基準に時価主義を採る時価主義会計は、現時点の企業の資産価値が適正に評価される会計手法です。時価で資産を評価された貸借対照表からは、企業の財政状態をより正しく把握することができます。
投資家は、資産の実態が掴める時価主義会計を重要視しています。
◆時価主義会計の短所
時価主義会計では、損益計算書に評価益という未実現の収益を認識してしまう、という問題があります。未実現利益が配当や税金として社外に流出する危険性があるからです。
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≪原価主義と時価主義の相違点≫
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原価主義 |
時価主義 |
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資産の
評価基準 |
原価評価(取得時の価格のまま)
※売却時まで変動しない
財務状態…把握できない
※時価情報は簿外に注記される
※含み損は表面にでない
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時価評価(時価で再評価)
※毎期末に変動する
財務状態…毎期末に把握できる
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収益の
評価基準 |
実現損益を計上
※数値に信頼性や客観性がある
※本業による損益のみを反映
※益出し…利益操作やりやすい |
未実現利益を計上
※本業による損益と、
時価の変動による損益を反映
※益出し…やり難い |
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↓ |
↓ |
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損益計算書(フロー)を重視 |
貸借対照表(ストック)を重視 |
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株主→配当、税務署→税金 |
投資家→株価 |
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参考
: 時価会計とは何か 時価 損益計算書と貸借対照表
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