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金融大学金融大学講座 > 時価会計入門講座
    
  
時価会計入門講座
時価会計とは何か
講師:有馬秀次

1.時価会計とは何か

≪時価会計とは…?≫

時価会計とは、一部の金融資産を、期末時点の時価で再評価する会計手法のことをいいます。保有資産の価値を毎期末ごとに見直し、時価と簿価の差額を評価損益として、貸借対照表や損益計算書に反映させます。

貸借対照表というのは、ある時点(期末日)の財産の一覧表です。時価会計は、期末時点における企業の財政状態を正確に公表させるための会計手法です。

◆含み損益

含み損益とは、簿価と時価の差額のことをいいます。簿価とは資産を買ったときの値段(取得価格=原価)のことで、時価とは市場で成立している値段(市場価格)のことです。

時価が簿価よりも高ければ含み益が発生し、時価が簿価よりも低ければ含み損が発生します。

時価会計は、貸借対照表には時価で表示して、損益計算書には当期損益に含み損益を反映させる会計です。

1年前に1000円で購入した株式が、決算時点で値上がりして1500円になった場合

簿価

1000円  取得価格(買ったときの値段)

時価

1500円  市場価格(今売った場合の値段)

含み損益

500円の含み益  時価と簿価の差額

 時価会計で評価すると…

貸借対照表

時価の1500円を表示する

損益計算書

含み益の500円(1500−1000=500)を反映させる

          

≪時価とは…?≫

時価とは、市場で成立している市場価格のことです。いつでもその価格で換金できると考えられる価格です。

◆時価の意味

時価とは、「再調達原価」と「正味実現可能価額」であるという見方があります。再調達原価は、商品を再調達するのにかかるコストという意味です。これは、買い手の立場から考えた時価です。正味実現可能価額は、商品を売却した場合に得られる収入という意味です。これは、売り手の立場から考えた時価です。

このほか、将来に得られると予想される収入から費用を差し引いたキャッシュフローを、一定の金利で割り引いた割引現在価値であると考える見方があります。

◆時価=公正価値

時価会計では、時価のことを公正価値と定めています。公正価値とは公正な評価額という意味で、「市場価格に基づく価額」と、「合理的に算定された価額」を時価と定めています。

市場価格に基づく価額とは、金融商品を市場で今売った場合に得られる金額、または金融商品を市場で今買った場合に支払う金額です。市場価格の終値気配値(市場で売ったり買ったりしてもよい価格)のことを意味します。

合理的に算定された価額とは、経営者側の合理的な見積もりによる金額です。市場価格が得られない場合に、算定方法の文書化や継続適用を条件として採用されます。取引が少なく市場価格が得られない債券やオプションの時価を求める場合に利用する価額です。

公正価値

市場がある 市場価格に基づく価額

市場がない 合理的に算定された価額

2.会計制度

≪会計の目的≫

会計には、損益計算書と貸借対照表を作成する、という目的があります。

◆損益計算書

損益計算書は、一定期間の損益を算定する計算書です。

損益計算書を作成する目的は、(1)株主に対する配当可能利益の計算、(2)課税当局に対する担税力(税金を負担する能力)の計算、(3)企業の業績評価のための一株当たり利益の計算 などにあります。

損益計算書は、一定期間のお金の収支を計算する書類で、おもにお金のフローを見ることができます。配当や課税の基礎資料となります。

◆貸借対照表

貸借対照表は、一時点の財産の一覧表です。企業が活動資金をどのように調達し、運用しているかを表す財産の残高表です。

貸借対照表は、一時点の財産の在庫を表す書類で、企業のストックを見ることができます。投資判断を行う上で重要です。

≪原価主義と時価主義≫

◆取得原価主義会計

日本の会計制度は、原価(取得時の価格)を基準として、資産や負債を評価する会計を採り入れています。この資産の評価基準のことを「原価主義会計」、または、「取得原価主義会計(しゅとくげんかしゅぎかいけい)」といいます。

実現主義とは…?

取得原価主義会計では、資産取得時の原価を貸借対照表に計上し、資産売却時に損益を損益計算書に計上します。決算期末の貸借対照表には、資産取得時の原価で計上されるため、資産価格の変動を読み取ることはできません。収益の認識は、資産を売却して収益が確定した時点に行います。この損益の認識基準のことを「実現主義」といいます。

取得原価主義会計の長所

損益の評価基準に実現主義を採る取得原価主義会計は、実際の取引により確定した収益から税金や配当の算定を行います。取得原価主義会計で計上される価格は、実際の取引額であるため、客観的に明らかな数字で信頼性があります。配当や課税金額に関心がある株主や課税当局者は、損益計算に信頼性のある取得原価主義会計を重要視しています。

取得原価主義会計の短所

取得原価主義会計では、金融商品のように価格変動が激しい資産は、資産売却時まで損益が計上されないため、現在の資産価値とはかけ離れた数値が期末の貸借対照表に表示されることが起こります。その結果、企業の財政状態を表す情報を投資家が得られない、といった事態を招きます。

また、業績が悪いときに、事業主に益出しという利益操作を行う余地を与えます。時価が簿価より高い有価証券を売却して、売却収益を実現することを「益出し」といいます。本業が不振でも、含み益がある資産を売却することで利益を捻出することができます。

そのほか、財政状態の正しい情報を経営陣がもたないために、適切なリスク管理を怠ってしまう、という問題も発生しています。

◆時価主義会計

貸借対照表上のすべての資産・負債を時価で再評価する会計のことを「時価主義会計」といいます。

時価主義会計では、評価差額(取得原価と時価評価額の差)を損益として認識します。したがって、損益計算書には、本業による損益のほかに、保有資産に対する時価の変動による損益も反映することになります。

時価主義会計は、企業清算時やインフレに対応するための会計手法です。企業が解散する場合に、すべての資産・負債を売却時の時価で評価して清算手続きを行う会計手法を「売却時価会計」と呼んでいます。また、物価上昇(インフレ)時に、一般物価指数によりすべての資産・負債を再評価して資産価値を修正する会計手法を「インフレーション会計」と呼んでいます。

時価主義会計の長所

資産の評価基準に時価主義を採る時価主義会計は、現時点の企業の資産価値が適正に評価される会計手法です。時価で資産を評価された貸借対照表からは、企業の財政状態をより正しく把握することができます。

投資家は、資産の実態が掴める時価主義会計を重要視しています。

時価主義会計の短所

時価主義会計では、損益計算書に評価益という未実現の収益を認識してしまう、という問題があります。未実現利益が配当や税金として社外に流出する危険性があるからです。

≪原価主義と時価主義の相違点≫

     

原価主義

時価主義

資産の
評価基準

原価評価(取得時の価格のまま)
 ※売却時まで変動しない
財務状態…把握できない
 ※時価情報は簿外に注記される
 ※含み損は表面にでない

時価評価(時価で再評価)
 ※毎期末に変動する
財務状態…毎期末に把握できる
     
     

収益の
評価基準

実現損益を計上
 ※数値に信頼性や客観性がある
 ※本業による損益のみを反映
 ※益出し…利益操作やりやすい

未実現利益を計上
 ※本業による損益と、
   時価の変動による損益を反映
 ※益出し…やり難い

 

 

損益計算書(フロー)を重視

貸借対照表(ストック)を重視

 

株主→配当、税務署→税金

投資家→株価

       

3.時価会計と実現主義

時価会計は、取得原価主義会計の枠内で、一部の金融商品に対して、時価評価会計を適用しようというものです。すべての会計手法が時価主義会計に変わるわけではありません。

≪売却が確定している資産≫

時価評価会計が適用される一部の金融商品というのは、市場価格があり、なおかつ、短期間で売買(資産の売却およびデリバティブの反対取引)されることが決まっている資産のことです。

時価評価は、利益の実現が確定している資産に適用します。実現主義の場合には、実際に資産が売却されなければ損益を認識することができません。しかし、時価会計の場合には、実際に資産が売却される時期よりも早い時点で損益を認識することができるので、投資家はより正確な情報を得ることができます。

≪売却が確定していない資産≫

売却が決まっていない資産の評価損益は実現性が低いので、時価評価をすると、未実現損益が損益に組み込まれることになります。評価損(含み損)を損失として処分することは、企業の財政状態を健全に保つ上でプラスに働きます。しかし、評価益(含み益)を利益として損益に計上することは、利益がないにもかかわらず配当や税金を支払うことになり、企業の体力を弱めていくことになります。

そこで、損益の実現が確定していない資産には、時価評価を適用せず、従来の原価主義会計で評価します。しかし、含み損が大きく回復の見込みがない場合には、減損会計を行って時価で表示させることにしています。減損会計とは、評価損のみに時価評価を適用する会計手法のことをいいます。

4.時価会計導入の背景

時価会計の新基準は、企業会計審議会による「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」(1999年1月22日公表)に基づいて2001年3月期決算から導入されました。

時価会計を導入した背景には、(1)近年、資産価格が変動する金融商品を、企業が多く保有するようになってきた、(2)企業活動の国際化から、日本の会計制度を国際基準に統一することが必要になってきた、という理由があります。

国際基準に基づいた財務諸表を作成することで、企業の財政状態、経営状態、将来性などが国内外の投資家に比較・判断されやすくなります。

≪まとめ≫

時価会計

時価会計…一部の金融資産を、期末時点の時価で再評価する会計手法
時価…市場で成立している市場価格
時価=公正価値(「市場価格に基づく価額」と、「合理的に算定された価額」

会計の目的

会計の目的…損益計算書と貸借対照表の作成
損益計算書…一定期間のお金の収支を計算する書類(お金のフロー)

貸借対照表…一時点の財産の在庫を表す書類(企業のストック)

会計制度

取得原価主義会計(原価主義会計)…原価を基準として、資産や負債を評価する会計
時価主義会計…貸借対照表上のすべての資産・負債を時価で再評価する会計

時価会計…取得原価主義会計の枠内で、一部の金融商品に対して、時価評価会計を適用する

≪問題≫

時価会計は、一部の金融資産を期末時点の●●で再評価する会計手法です。時価会計は、●●●●表には時価で表示して、●●●●書には当期損益に含み損益を反映させる会計です。

含み損益とは、●●と●●の差額のことです。簿価とは資産を買ったときの値段(取得価格=原価)のことで、時価とは市場で成立している値段(市場価格)のことです。時価が簿価よりも高ければ●●●が発生し、時価が簿価よりも低ければ●●●が発生します。

時価とは、●●●原価(商品を再調達するのにかかるコスト)と●●●●可能価額(商品を売却した場合に得られる収入)であるという見方があります。

時価会計では、時価のことを●●価値と定めています。●●価値とは公正な評価額という意味で、「市場価格に基づく価額」と、「合理的に算定された価額」を時価と定めています。

●●●●書は、一定期間のお金の収支を計算する書類で、おもにお金のフローを見ることができます。一方、●●●●表は、一時点の財産の在庫を表す書類で、企業のストックを見ることができます。

日本の会計制度は、原価(取得価格)を基準として、資産や負債を評価する会計を採り入れています。この資産の評価基準のことを●●主義会計、または、●●●●主義会計といいます。

取得原価主義会計では、資産取得時の原価を●●●●表に計上し、資産売却時に損益を●●●●書に計上します。収益の認識は、資産を売却して収益が確定した時点に行います。この損益の認識基準を●●主義といいます。

企業が解散する場合に、すべての資産・負債を売却時の時価で評価して清算手続きを行う会計手法を●●●●会計といいます。また、物価上昇時に、一般物価指数によりすべての資産・負債を再評価して資産価値を修正する会計手法を●●●●●●●●会計といいます。

時価会計は、●●●●主義会計の枠内で、一部の金融商品に対して時価評価会計を適用します。時価評価会計が適用される一部の金融商品というのは、●●価格があり、なおかつ、●期間で売買されることが決まっている資産です。

10

時価会計では、損益の実現が確定していない資産には時価評価を適用せず、●●主義会計で評価します。しかし、含み損が大きく回復の見込みがない場合には、●●会計を行って時価で表示します。

≪解答≫

時価、貸借対照、損益計算

原価、取得原価

簿価、時価、含み益、含み損

貸借対照、損益計算、実現

再調達、正味実現

売却時価、インフレーション

公正、公正

取得原価、市場、短

損益計算、貸借対照

10

原価、減損
      
    
  
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