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金融大学  債券取引入門講座

講師 :有馬秀次

第6回 発行市場

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1.発行市場

債券が新たに発行される場を発行市場、または、起債市場といいます。

債券の発行には、公募発行と私募発行の方法があります。公募発行とは、広く一般の人を対象に、債券を募集するものです。債券の発行のほとんどは、公募によるものです。一方、私募発行とは、身内の縁故者に発行するものです。私募発行は、少数の特定の投資家が引き受けるため、市場規模は大きくあリません。

≪公募発行≫

公募発行は、発行額の設定方法から大きく、(1)募集発行、(2)入札発行、(3)売出発行 の3つの発行形態に分けられます。

◆募集発行

募集発行は、発行者が発行総額、発行価格、発行日、申込期間、利率等の発行条件をあらかじめ決めておいて投資家を募集(販売)する方法です。債券を購入する投資家は、申込期間中に応募します。一般的な債券発行の方法です。

◆入札発行

入札発行は、発行者が発行総額を決めておいて、利率や発行価格を応募者の入札で決める方法です。一部の中期利付国債の発行方法に使われています。

◆売出発行

売出発行は、債券の発行総額を決めずに売り出す方法です。期間中に応募された金額を発行総額とする方法です。割引金融債の発行方法に使われています。

発 行 市 場 ( 起 債 市 場 )

公募発行

広く一般の人を対象に債券を募集

募集発行

発行者が発行条件を決めておいて
投資家を募集(販売)する

入札発行

発行者が発行総額を決めておいて
利率や発行価格を応募者の入札で決める

売出発行

債券の発行総額を決めずに売り出す

私募発行

身内の縁故者に発行

2.発行手続き

債券発行を発行者が直接行うのは大変です。債券の発行には、複雑な事務手続を行う専門知識と、広く投資家に債券を消化する(売りさばく)能力が必要だからです。そこで、発行者と投資家の間に、債券の引受けを担当する引受会社と発行事務の代行を行う受託会社をおくようにしています。

≪引受会社≫

引受会社は、新発債を一般の投資家に売りさばき、もし売れ残った場合には自らの責任で引き取る会社です。

しかし、国債発行のように発行額が大きくなると、1社だけで引き受けることはリスク負担が大きく大変です。そうした場合には、数社が集まって合同で引受けを行います。この集まりを引受シンジケート団(引受シ団)といいます。国債の引受シ団には、都市銀行、信託銀行、証券会社、生命保険会社、信金等がメンバーになっています。

≪受託会社≫

受託会社は、債券の発行事務の代行と社債権の管理を行う会社です。

発行事務の代行とは、契約書の作成、払込金の授受、社債原簿の作成などの債券発行に必要な一連の事務手続きです。これを、募集業務といいます。一方、社債権の管理とは、担保物件の査定や担保権の設定、登記などの業務です。これを、担保業務といいます。これは、物上担保付社債の発行に関してのみ行われる業務ですが、万が一、発行体が債券の償還ができなくなった場合には、担保権を実行してくれます。

通常、募集と担保の業務は、同じ受託会社で行っています。受託会社には、都市銀行、信託銀行、地方銀行がなっています。

債 券 の 発 行

引受会社

新発債を一般投資家に売りさばく

売れ残った場合、自らの責任で引き取る

数社が集まり合同で引受け→引受シンジケート団(引受シ団)

受託会社

発行事務の代行

債券発行に必要な一連の事務手続き(募集業務

社債権の管理

担保物件の査定や登記などの業務(担保業務

3.市場規模

2002年(2002/4〜2003/3)の公社債(公共債、民間債)の発行額は、180兆7309億円です。

発行債券の内訳は、国債146.9兆円、政府保証債4.4兆円、地方債2.8兆円、民間債10兆円、金融債12兆円となっています。 日本の発行市場は、公共債(国債、政府保証債、地方債)が86%を占めています。民間債(金融債を含む)の占める割合は14%です。

2002年の国債の発行額は146.9兆円となり、5年前の1997年の71.1兆円と比べて2倍以上に膨れ上がりました。1980年の国債の発行額は14.6兆円でしたので、22年で10倍にまで増えています。国債の発行額の大幅な増加は、景気対策によるものです。しかし、不況が続き、租税による収入が増えないことから、国債の発行がますます増えることが懸念されています。

国債発行額 10年間の推移 (単位・兆円)

年度

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

発行額

54.8

54.7

68.4

70.6

71.1

95.8

99.8

105.4

144.5

146.9

   

≪まとめ≫

債券の発行方法

公募発行…一般の人を対象に債券を募集

私募発行…身内の縁故者に発行

公募発行の3つの発行形態

募集発行…発行者が、発行条件を決めて募集(販売)する

入札発行…発行者が発行総額を決め、利率や発行価格を応募者の入札で決める

売出発行…債券の発行総額を決めずに売り出す

引受会社

新発債を一般投資家に売り、売れ残った場合、自らの責任で引き取る

引受シンジケート団…数社が集まって、合同で引受けを行う

受託会社

債券の発行事務…債券発行に必要な一連の事務手続き(募集業務)

社債権の管理…担保物件の査定や担保権の設定、登記など(担保業務)

≪問題≫

債券が新たに発行される場を●●市場(または起債市場)といいます。●●発行とは、一般の人を対象に債券を募集するもので、●●発行とは、身内の縁故者へ発行するものです。

債券のほとんどは、●●発行によるもので、発行額の設定方法から、募集発行、入札発行、●●発行の3つの発行形態に分けられます。

●●発行は、発行者が発行総額、発行価格、発行日、申込期間、利率等の●●条件をあらかじめ決めて募集(販売)する方法です。

●●発行は、発行者が発行総額を決めて、利率や発行価格を応募者の入札で決める方法です。●●発行は、債券の発行総額を決めずに売出し、期間中に応募された金額を発行総額とする方法です。

債券発行には、複雑な事務手続を行う専門知識と、広く投資家に債券を売りさばく能力が必要なため、発行者と投資家の間に、債券を引受ける「●●会社」と発行事務代行を行う「●●会社」をおいています。

●●会社は、新発債を一般投資家に売りさばき、売れ残った場合、自らの責任で引き取る会社です。数社が集まって合同で引受けを行う集まりを引受●●●●●●団といいます。

●●会社は、債券の発行事務代行と社債権管理を行う会社です。契約書作成、払込金授受、社債原簿作成など、債券発行に必要な事務手続きを、●●業務といいます。

担保物権の査定や担保権の設定、登記などの業務を、●●業務といいます。通常、募集と担保の業務は、同じ●●会社で行います。

2002年の公社債発行額は180兆7309億円です。景気対策のために、●●の発行が大幅に増えたのが理由です。

10

日本の発行市場は、●●債が86%を占め、●●債の占める割合は14%です。

≪解答≫

発行、公募、私募

引受、シンジケート

公募、売出

受託、募集

募集、発行

担保、受託

入札、売出

国債

引受、受託

10

公共、民間

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