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1.外為法改正の経緯
外為法とは、外国為替及び外国貿易管理法のことで、国際収支の均衡と通貨の安定を図ることを目的に、1949年に施行された法律です。
この法律では、外国との経済取引(外貨の両替)を原則として禁止しており、許認可を受けた場合のみ例外として認められていました。また、すべての外為取引は、大蔵大臣が認可した外国為替公認銀行(為銀)を通じて行わなければなりませんでした。これを、為銀主義といいます。対外取引を原則禁止とするこの体系は、戦後の脆弱な日本経済の保護を目的としていましたが、その後、日本が経済的な発展を遂げてくると、海外と競争を行う際の妨げになりはじめました。
そこで1980年に全面的な外為法改正を行い、対外取引を原則自由としました。しかし、為銀主義は保持され、外国為替公認銀行を通じて外為取引を行う制度が続きました。
その間、欧米諸国では、対外取引の自由化が急速に推し進められ、不自由な東京市場との取引シェアは急低下していきました。このままでは日本の金融市場が空洞化してしまうという危機感が高まりました。そこで、外為法が抜本的に見直されることになり、1998年4月に新法が施行されました。
新法では、為銀主義を撤廃して、個人や企業が自由に対外取引を行えるように変更しました。外為法の体系は原則自由から完全自由に書き換えられ、正式名称も管理という文字を取り除いて外国為替及び外国貿易法となりました。
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1949 |
外国為替及び外国貿易管理法 |
原則禁止 |
為銀主義 |
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1980 |
外国為替及び外国貿易管理法(改正外為法) |
原則自由 |
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1998 |
外国為替及び外国貿易法(新改正外為法) |
完全自由 |
為銀主義廃止 |
2.新改正外為法で何が変わったか?
外為法改正にみられる大きな変更点は、@事前の許可や届出制の廃止 A為銀主義の廃止 の2点です。
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新改正外為法の変更点
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事前の許可や届出制の廃止
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為銀主義の廃止
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新法下では、外貨取引を行う際の許可や届出は原則不要で、外国為替公認銀行を通さずに外国為替業務や資本取引(お金の貸し借り)ができるようになりました。
具体的には、
(1)海外預金の自由化
改正前は許可が必要でしたが、改正後は自由に預金口座を開設できるようになりました。資金決済や外債投資の決済を、預金口座を利用して行えます。個人輸入の決済などの場合には、海外の預金口座から直接ドルで支払えるため、為替変動リスクを回避できるようになります。
(2)対外貸借取引の自由化
改正前は事前に届出が必要でしたが、改正後は事前の煩雑な手続きがなくなりました。市場状況に応じた迅速な資金取引が行えます。
(3)外貨建て取引の自由化
改正前は許可が必要でしたが、改正後は自由に外貨建て取引ができるようになりました。国内企業間の外貨建て決済、銀行以外(スーパー、コンビニなど)での為替両替や外貨金融商品の購入、また外貨を使っての買い物も可能です。
(4)対外証券取引の自由化
改正前は事前に届出が必要でしたが、改正後は自由に海外と証券取引できるようになりました。一般投資家も、海外の銀行や証券会社から、債券や株式を直接購入できます。
(5)ネッティング決済の自由化
改正前は許可制でしたが、改正後は自由に外貨建て取引の相殺決済を行えるようになりました。企業間でドル決済できるため、企業の資産管理の効率化がはかれます。
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新法における自由化
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改正前
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改正後(許可・届出は不要)
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海外預金
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許可制
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預金口座を利用して、資金決済や外債投資の決済を行える
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対外貸借取引
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事前届出制
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市場状況に応じた迅速な取引ができる
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外貨建て取引
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許可制
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国内企業間の外貨建て決済、銀行以外での為替両替や
外貨金融商品の購入、外貨での買い物が可能
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対外証券取引
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事前届出制
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海外から債券や株式を直接購入できる
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ネッティング決済
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許可制
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企業間でドル決済できる
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3.ネッティング
(1)ネッティングのメリット
この外為法の改正で注目すべき点は、「ネッティング取引」
の解禁です。ネッティングとは、債権から債務を差し引いた差額を決済することです。
従来の制度では、輸出資金と輸入資金を別々に為銀に持ち込み、グロス(総額)で決済していました。輸出代金のドル売り手数料と、輸入代金のドル買い手数料を、銀行に支払っていたのです。
新法では、これを相殺してネット(差額)で決済することが自由化されました。ネット決済により、外為手数料の削減と為替リスクの低減をはかれるのです。
商社や海外に子会社を持つ大手メーカーなどは、債権債務を集中させて相殺決済することで、経営の効率化がはかれます。企業にインハウス・バンク(企業内銀行)の機能を持たせて、
国内外の外貨決済を一箇所に集めて管理することにより、為替リスクと為替コストを削減させようという動きが活発化しています。
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ネッティングのメリット
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外為手数料削減
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為替リスク削減
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(2)ネッティングの起源
ネッティングは、お金の受け取りと支払いを帳簿上で相殺しあうことで、実際の取引金額を小さくさせるものです。取引に伴うリスクを低減させる効果を持っています。
ネッティングの起源は、為替の仕組みにあります。為替は、銀行口座上の振替を利用して、金の現送リスクを小さくさせたものです。
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為替の仕組み
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現送リスクの低減
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銀行口座の振替
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外国為替(ネッティング)
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取引リスクの低減
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企業帳簿の振替(相殺)
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(3)ネッティングの種類
ネッティングには、企業間の決済を相殺するバイラテラル・ネッティングと、グループ企業同士の決済を相殺するマルチラテラル・ネッティングがあります。コンピュータ技術の進展により、ネットワークシステムの構築が容易になったことから、マルチラテラル・ネッティングの導入が可能になりました。現在、ソニー、松下電器産業、三菱電気、商船三井、東京電力といった大手企業が、マルチラテラル・ネッティングに積極的に取り組んでいます。
(4)金融ビッグバンとネッティング
ネッティングは、デリバティブ(金融派生商品)にも見られます。デリバティブは、差金決済を通して将来の損益を取引する仕組みであるため、ネッティングの機能を内包しているのです。デリバティブは、1973年に外国為替が変動相場制に移行して以来、金利や為替のリスクが増大したのに呼応して生まれた商品です。
金融ビッグバン(規制緩和)の動きは、変動相場制のもとで、やはり米国から始まったものです。ネッティングは、様々な形で金融ビッグバンの潮流に根付いているのです。
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ネッティング
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外国為替
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現時点の損益のネッティング
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デリバティブ
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将来の損益のネッティング
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参考
: ネッティング
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