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金融大学  外国為替入門講座

講師 :有馬秀次

第4回 外貨預金とインパクトローン

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1.外貨預金

外貨預金とは、日本円を米ドルやマルクなどの外国通貨に交換して預ける外貨建て預金のことをいいます。個人でも法人でも作成できる、自由金利商品です。外貨預金は、国内の外国為替公認銀行(但し、1998年4月に外国為替公認銀行制度廃止)で広く取り扱っています。

外貨預金には、円預金同様、 普通預金、通知預金、定期預金といった種類がありますが、その中心は定期預金です。取扱通貨は、米ドルを中心とする主要通貨で、預入期間は、国内の預金同様、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年です。

外貨預金の魅力は、金利為替差益にあります。外貨預金の金利は、各国の金利水準で決まるため、日本円に比べて高金利の通貨に預金することができます。また、為替レートが円安に推移すると、外貨を円に戻す際の為替差益が得られます。
為替レートが預入日より円安に推移した時に円に替えると、高利回りになります。逆に、円高に推移すると、為替変動により元本割れが生じることもあります。為替相場の変動による
為替リスクを伴う商品です。

外 貨 預 金 の 魅 力

金利

高金利の通貨に預金できる

為替差益

円貨に替える際の為替差益が得られる
 ・円安に推移
高利回り
 ・円高に推移
元本割れ

外貨預金の利息部分には、円預金同様、一律20%の源泉分離課税が課税されます。為替の差損益は、税法上では雑所得扱いとなります。預金保険の対象外であるため、銀行が倒産しても元本の保証はありません。外貨定期預金の中途解約もできません。

外貨預金の特徴

利息⇒源泉分離課税(一律20%)

為替の差損益⇒雑所得扱い(税法上)

元本の保証はない

外貨定期預金は中途解約できない

≪外国為替手数料≫

外貨預金は、表面上見えないところで手数料を払っているので、注意が必要です。外国為替手数料が為替レートに含まれているのです。米ドルの場合、預け入れ時に1円、払い戻し時に1円、合計2円の為替手数料を負担することになります。

外貨預金を始める時、顧客は、円資金と外貨を交換します。銀行に円を売って外貨を買います。これは、銀行側から見ると、円を買って外貨を売ることになります。この時に適用されるレートが、TTSレート(電信売り相場)です。これは、仲値に1円上乗せしたレートです。
※仲値…銀行間の実勢取引レートから決めた対顧客取引の基準レート

反対に、外貨預金を円に替える時には、銀行に外貨を売って円を買います。これは、銀行側から見ると、円を売って外貨を買うことになります。この時に適用されるレートを、TTBレート(電信買い相場)といいます。これは、仲値から1円差し引いたレートです。

TTSレート
電信売り相場

仲値+1円

顧客…円を売って外貨を買う

銀行…外貨を売って円を買う

TTBレート
電信買い相場

仲値−1円

顧客…外貨を売って円を買う

銀行…円を売って外貨を買う

今、外国為替相場の仲値が$1=100円であるとします。1ドルの外貨預金を行うには、TTSが1ドル=101円ですから、101円必要です。仮に、満期日の為替相場が同じであったとすると、TTBは、1ドル=99円ですから、99円しか戻ってきません。円貨元本101円が99円になってしまいます。1ドルに付き2円が手数料として消えてしまったのです。

預入期間が短ければ、手数料は大きな負担となります。手数料の大きさを$1=100円で換算すると、年率2%(2÷100=0.02)の金利に相当します。
期間が1ヶ月であれば、年率24%(2X12ヶ月÷100=0.24)の金利負担にも及びます。

≪外貨預金利回り≫

外貨預金の実質利回りは、外貨を円貨に換算すると、円預金利回りと同様に計算されます。計算は、外貨元利合計を計算し、円貨に換算して利回りの計算を行います。

 (例)
   銀行に100万円を預けて、額面1万ドル、預入期間6ヶ月の外貨預金を行った。
    外貨預金の実質利回りを計算しなさい。

     預金金利=10%p.a. … p.a.は、per annumの略で「年率」を示す。
     預入日の為替レート仲値 $1=99円(TTS=100円)
     満期日の為替レート仲値 $1=101円(TTB=100円)

(計算)
外貨元利合計=円貨元本÷TTSレート(預入日)×(1+外貨金利×日数÷360日)
   $10,500=¥1,000,000÷100×(1+0.1×180÷360)

円貨元利合計=外貨元利合計×TTBレート(満期日)
   ¥1,050,000=$10,500×100

実質利回り(年利)=(円貨元利合計−円貨元本)÷円貨元本×365日÷預金期間(日数)
   0.10138=(¥10,050,000−¥1,000,000)÷¥1,000,000×365÷180

(解答) 10.138%p.a.   

利息は、日本円は通常365日ベースで、米ドルは360日ベースで計算します。

≪スワップ付き外貨預金≫

外貨預金には、為替予約を付けることができます。予約を付けたものをスワップ付き外貨預金、予約が付いていないものをオープン外貨預金と呼んでいます。

外貨預金

スワップ付き外貨預金

為替予約が付いているもの

オープン外貨預金

為替予約が付いていないもの

スワップ付き外貨預金は、満期日の為替予約レートを現時点で確定しておくもので、満期日に戻ってくる預金円貨額を確定させておくことができます。預金利回りは、国内の預金金利とほとんど同じになります。というのは、海外金利と国内金利の差が予約レートに反映しているためです。これは、実質円預金を行うのと変わりません。

≪外貨預金の利用方法≫

オープン外貨預金は、輸入取引等の外貨債務のヘッジに利用することができます。ヘッジとは、リスクを回避するという意味です。外貨の支払いを、外貨預金の外貨で直接行う方法です。外貨と円との交換が発生しないので、為替リスクから回避できるというわけです。

2.インパクトローン

インパクトローンとは、資金使途に制限のない外貨貸付のことをいいます。通貨の種類、貸付金額、金利等についての規制がなく、簡単な事務手続きで申込むことができます。
資金使途を限定した貸付であるタイドローンや、特定プロジェクト開発のための貸付であるプロジェクトローンと区別するために使われた用語で、和製英語です。

貸出金利は、LIBOR(ロンドン銀行間金利)などの外貨調達コストに銀行のスプレッド(利鞘)を上乗せして決められます。貸付通貨は、外国為替銀行が調達可能な主要通貨であれば、どんな通貨でも利用可能です。

インパクトローンの返済時の為替レートは、返済日当日にならないとわからないため、円ベースでの実質金利は確定していません。これを返済時の為替予約を締結していないという意味で、オープンインパクトローンと呼んでいます。

借入円転時の為替レートより、返済時の為替レートが円安であれば為替差損が発生し、逆に円高であれば為替差益が発生します。
例えば、1ドルを、1ドル=110円で借入れたとします。返済時の為替レートが1ドル=100円と円高になっていた場合、元本返済に必要な資金は100円ですから、10円が手元に残ります。これが
為替差益です。

返済時の為替レートが円安に推移

為替差損が発生

返済時の為替レートが円高に推移

為替差益が発生

この為替相場の変動は、リスクであると同時に魅力になっています。
インパクトローンの利用法
として為替リスクを相殺させる方法があります。 例えば、3か月後に受取予定の外貨建債権は、為替レートが円高になれば、手取り円貨が少なくなり為替差損をこうむります。これに対して、その債権と同額のオープンインパクトローンを導入し円転しておくと、円高による為替差損を同額の為替差益で穴埋めすることが可能です。

≪実質金利の計算方法≫

インパクトローンは、外貨の借入時と返済時に、外貨と円貨の交換が行われます。
借入時には、銀行がドルを買い、円を売るという交換を行います。その時のレートは、TTBがベースとなります。
返済時には、銀行がドルを売り、円を買うという交換を行います。その時のレートは、TTSがベースとなります。
ドル金利の計算は、1年を360日ベースで行いますが、円での実質金利は、365日ベースで行います。
インパクトローンの利息計算は、日数片落し、利息後取りが原則となっています。

(例)
外貨元本(借入額)1万ドル、借入期間180日のときの実質金利を計算しなさい。

  外貨金利=10%p.a. … p.a.は、per annumの略で「年率」を示す。
  借入時の為替レート仲値 $1=101円(TTB=100円)
  返済時の為替レート仲値 $1=99円(TTS=100円)

(計算)
 
円元本=外貨元本×借入時TTBレート
   ¥1,000,000=$10,000×100(借入時に100万円手にした)

 外貨元利合計=外貨元本×(1+外貨金利×借入日数÷360)
   $10,500=$10,000×(1+0.1×180÷360)

 円元利合計=外貨元利合計×返済時TTSレート
   ¥1,050,000=$10,500×100

 実質利回り=(円元利合計−円元本)÷円元本×365÷借入日数
   0.10138=(¥1,050,000−¥1,000,000)÷1,000,000×365÷180

(解答) 10.138%p.a.    

インパクト・ローンで借入れた外貨を円に転換すると同時に、返済期日の元本と金利に為替予約を締結しておくことができます。ローンの取組時点で、円貨ベースの実行金利を確定することができます。これをスワップ付きインパクトローンといいます。

スワップ付インパクト・ローンの実質利回りは、国内の市場金利に近いものになります。
これは、インパクトローンで導入した資金を円で預金する人と、逆に円資金を借入れて外貨預金をする人の間でサヤ取りが行われ、結果的に同一の水準に為替予約レートが動くからです。

◆参考 : 仲値(なかね)

仲値は、対顧客取引の基準となるレートです。公示相場とも呼びます。インターバンクレート(銀行間の取引レート)は、取引ごとに決められるため、常に変動しています。銀行は、朝10時頃のインターバンクレートの実勢(じっせい)を参考に、仲値を決めることにしています。
仲値は、1990年9月から、各銀行が独自に決められることになっていますが、東京三菱銀行の発表レートを参考にして横並びに決めている場合が多いようです。

ところで、対顧客取引は、取引の当日に為替が受け渡しされる取引です。一方、インターバンクレート(スポット取引)は、2営業日後に受渡しされる取引です。 そのため、インターバンクレートから仲値を決める場合には、この2営業日間の金利負担分を考慮に入れて決めています。

◆参考 : 利息の計算

1年を360日として
計算する国

米国、カナダ、オーストラリア、ドイツ
フランス、スペイン、スイス等

1年を365日として
計算する国

日本、イングランド、ホンコン、台湾
タイ、マレーシア等

       

≪まとめ≫

外貨預金

魅力…金利、為替差益

為替リスクを伴う商品

外国為替手数料

TTSレート(電信売り相場)…仲値に1円上乗せしたレート

TTBレート(電信買い相場)…仲値から1円差し引いたレート

スワップ外貨預金

スワップ付き外貨預金…為替予約を付けたもの

オープン外貨預金…為替予約が付いていないもの

インパクトローン

オープンインパクトローン…返済時の為替予約を締結していないローン

スワップ付きインパクトローン…ローン取組時点で、円貨ベースの実行金利を確定

≪問題≫

外貨預金とは、日本円を外国通貨に交換して預ける●●建て預金のことです。利息には●●%の源泉分離課税が課税されます。為替の差損益は、税法上では●●●扱いとなります。

外貨預金の魅力は、●●と為替差益にあります。金利は、各国の金利水準で決まるため、高金利の通貨に預金できます。また、為替レートが円安に推移すると、外貨を円に戻す際の為替●●が得られます。

円資金を外貨に替える時に適用されるレートを、T●●レート(電信売り相場)といいます。逆に、外貨預金を円に替える時に適用されるレートを、T●●レート(電信買い相場)といいます。

為替予約を付けた外貨預金を、ス●●●付き外貨預金といいます。スワップ付き外貨預金は、満期日に戻ってくる預金●●額を確定させておくことができます。

為替予約が付いていない外貨預金を●●●ン外貨預金といいます。外貨の支払いを、外貨預金の外貨で直接支払う方法です。●●と円との交換が発生しないので、為替リスクから回避できます。

インパクトローンとは、資金使途に制限のない外貨●●のことです。貸付金利は、ユーロダラーなどの原資を取入れコストにして、銀行のスプ●●●(利鞘)を上乗せして決められます。

インパクトローンの円ベースでの実質金利は確定していません。これを返済時の為替予約を締結していないという意味で、●●●ンインパクトローンといいます。借入円転時の為替レートより返済時の為替レートが円●だと為替差損が発生し、円●だと為替差益が発生します。

インパクトローンの利用法として、為替リスクを●●させる方法があります。外貨建債権と同額の●●●ンインパクトローンを導入して円転しておくと、円高による為替差損を同額の為替差益で穴埋めできます。

インパクトローンは、外貨の借入時と返済時に●●と円貨の交換が行われます。ドル金利の計算は、1年を●●●日ベースで行いますが、円での実質金利は、365日ベースで行います。

10

インパクトローンで借入れた外貨を円転すると同時に、返済期日の元本と金利に●●予約を締結しておくことができます。これを●●●●付きインパクトローンといいます。

≪解答≫

外貨、20、雑所得

貸付、レッド

金利、差益

オープ、安、高

TS、TB

相殺、オープ

ワップ、円貨

外貨、360

オープ、外貨

10

為替、スワップ

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