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金融大学  金融取引入門講座

講師 :有馬秀次

第3回 おカネの流れ方

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1.お金の流れ方

≪経済活動とお金≫ 

私たちの暮らしは、企業がモノやサービスを生産し、家計(家庭)がそれらを消費するといった生産と消費の活動で成り立っています。この生産と消費の循環過程を「経済活動」と呼んでいます。
経済活動は、お金(貨幣)に支えられています。
モノやサービスの交換は、お金を仲介して行われるからです。このお金の動きは、その流れ方から、産業的流通と金融的流通に分けられます。

≪産業的流通≫

産業的流通とは、モノやサービスの生産から消費に伴うお金(貨幣)の流れのことをいいます。企業と家計の間で、モノやサービスを売買したとき、買い手はモノやサービスを受け取り、その代償としてお金を支払います。お金は、モノやサービスの流れと逆方向に流れていきます。このお金の流れのことを産業的流通と呼んでいます。

産業的流通は、実物経済のお金の流れです。実物経済とは、モノやサービスの生産・分配・支出に関する経済活動のことをいいます。生産とは企業がモノをつくること、分配とは企業が労働者に所得を与えること、支出とは家計がモノを消費することです。

産業的流通   売買関係の流れ

企 業

モノやサービス 

家 計

← お金

お金の流れ…モノやサービスの流れと逆方向

≪金融的流通≫

金融的流通とは、金融資産の取引(お金の貸し借り)に伴うお金(貨幣)の流れのことをいいます。これは、預金したり、株式や債券を購入したり、銀行からお金を借りたり…という、貸借関係の流れです。貸し手は、預金証書、株券、債券という金融資産を受け取りますが、お金は、貸し手から借り手へ流れます。このお金の流れのことを金融的流通と呼んでいます。

金融的流通は、マネー経済のお金の流れです。マネー経済とは、お金の貸借を行う経済活動のことをいいます。

金融的流通   貸借関係の流れ

企 業

← お金
(預金、投資など)

家 計

企 業

お金 
(銀行借入など)

家 計

お金の流れ…貸し手から借り手へ

経済の発展に金融的流通は欠かせないものです。お金が不足すると、モノやサービスが消費されなくなり、生産活動が止まってしまいます。こんなとき、お金が不足している部門にお金が供給されると、モノやサービスが消費されます。ボーナス前に車を購入できるのも、ローンのシステムがあるからです。金融的流通が産業的流通を支えていることがわかります。これが、金融のことを「経済の潤滑油」という理由です。

2.経済主体

≪経済主体の意味≫

経済活動の中で主たる役割を担っている、「家計」、「企業」、「政府」、「海外」の4つの経済部門のことを経済主体といいます。

経済は、企業がモノやサービスの生産を行い、家計が消費するという活動から成り立っています。政府は、この活動の手助けをする部門です。海外は、外国との取引状況を示す部門です。

≪経済活動の仕組み≫

私たちの暮らしは、企業がモノやサービスを生産し、家計(家庭)がそれらを消費するといった活動で成り立っています。この生産と消費の循環過程を「経済活動」と呼んでいます。

経済活動は、貨幣を仲介して行われています。企業と家計の間でモノやサービスを売買したとき、買い手はモノやサービスを受取り、その代償としてお金を支払います。こうした経済活動の結果、「家計」、「企業」、「政府」、「海外」の経済部門間で、お金の過不足が起こります。

経済活動を円滑に行うためには、お金の余っている部門からお金の足りない部門へ、お金を融通することが必要になります。これが金融の役割です。

≪黒字主体と赤字主体≫

経済主体(家計・企業・政府・海外)のなかで、お金が余っている経済部門を黒字主体といい、お金が不足している経済部門を赤字主体といいます。金融は、お金を黒字主体から赤字主体に移転させる活動です。

◆黒字主体

家計部門(個人や個人企業の集まり)は黒字主体です。家計部門の中には赤字の人もたくさんいますが、部門全体で考えると黒字主体となります。黒字主体は、リスクと利回りを考慮して、赤字主体に資金を貸付けます。

黒字主体は、収入が支出より多い経済部門です。貯蓄超過主体とも呼ばれています。

◆赤字主体

通常、企業部門、政府部門、海外部門は赤字主体です。しかし、これらの部門が常に赤字主体であるわけではありません。企業部門や政府部門が黒字主体に転換することもしばしば起こりますし、日本の経常収支が赤字の場合には海外部門は黒字に変わります。

赤字主体は、収入より支出が多い経済部門です。投資超過主体とも呼ばれています。

黒字主体

お金が余っている経済部門

家計

赤字主体

お金が不足している経済部門

企業、政府、海外

◆部門間の資金過不足の推移

家計部門は、戦後一貫して資金余剰主体です。

1960年代から1970年代初めには、高度経済成長時代を反映して企業部門が設備投資にお金を必要とし、企業部門の資金不足が続きました。企業部門の赤字幅は大きく膨らみましたが、この資金不足は、個人の貯蓄が貸し出される形で解消されました。

1970年代初めから1980年代中頃まで、政府部門の赤字幅が増えました。第一次石油危機後の企業の設備投資の停滞、景気の鈍化による税収減、福祉への支出増加などが原因です。そこで、政府は公債を発行して家計部門から資金を吸収しました。これは、個人の貯蓄で政府の財政赤字が賄われたことを示します。

1994年以降には、バブル経済が崩壊して企業が設備投資を大幅に減らしたため、企業部門は黒字主体に転換しました。

このように、日本経済の資金の流れは、経済情勢により微妙にその構図を変えていますが、概ね、家計部門から企業部門、政府部門、海外部門に資金が供給される姿として捉えることができます。

3.直接金融と間接金融

金融(お金の貸し借り)は、金融仲介機関を通すか通さないかによって、直接金融と間接金融の2通りに分けられます。

≪直接金融≫

借り手が貸し手から、直接お金を融通してもらう方法を直接金融といいます。

借り手(国や企業)が有価証券(株式や債券など)を発行して、貸し手(個人や企業)から直接的に資金を調達します。

直接金融は、借り手と貸し手の間に、金融仲介機関が介在しない取引です。借り手が債務を返さないというリスクは、貸し手(個人や企業)が負っています。

直接金融を行う金融機関には、証券会社があります。証券会社は、直接金融の代表的な金融機関です。証券会社は企業と個人投資家との間に入りますが、仲介だけしか行いません。借り手が債務を返さない場合の責任は負っていません。

直接金融(金融仲介機関が介在しない取引)

資金の調達

借り手(国や企業)が株式や債券を発行して、
貸し手(個人や企業)から直接借りる

リ ス ク

貸し手(個人や企業)が負う

金融機関

証券会社

企業の資金調達は、銀行からの融資に頼る間接金融から、株式や社債の発行により資金調達を行う直接金融へと、急速に移行してきています。間接金融から直接金融に移行する流れは、貸し手(個人や企業)が投資先のリスクを直接に負わなければならなくなったことを意味します。自らの手で情報を収集して判断し、自己責任で投資を行う時代に入りました。

≪間接金融≫

貸し手と借り手の間を銀行が仲介して、間接的にお金を融通する方法を間接金融といいます。

銀行が預金の形で貸し手(個人や企業)から資金を集めて、銀行の責任で借り手(国や企業)に貸付けます。

間接金融は、借り手と貸し手の間に、金融仲介機関が介在する取引です。借り手が債務を返さないというリスクは、貸し手(個人や企業)ではなく、銀行が負っています。

※金融仲介機関とは、間接証券(預金証書や保険証書など)を発行する金融機関のことで銀行、信用金庫、保険会社などがあります。

間接金融(金融仲介機関が介在する取引)

資金の調達

銀行が貸し手(個人や企業)から資金を集めて、
貸し手(国や企業)に貸し付ける

リ ス ク

銀行が負う

金融仲介機関

銀行、信用金庫、保険会社など

日本の金融機関は、間接金融である銀行を中心に発展してきました。銀行の貸出金利を低く抑えることで企業の借入負担を軽くしたことが、日本企業の国際競争力を高めたと言われています。

直接金融(株式、債券)

  

  

………………………
………………………

お金

  

  

           

         

  

  

         

預金証書
←………
………→

貸付証書
←………
………→

お金

お金

  

        

        

  

間接金融

      

≪まとめ≫

お金の流れ方

産業的流通は、モノやサービスの生産から消費に伴うお金の流れ

金融的流通は、金融資産の取引(お金の貸借)に伴うお金の流れ

経済主体

家計、企業、政府、海外の4つの経済部門のこと

黒字主体は、お金が余っている経済部門…家計

赤字主体は、お金が不足している経済部門…企業、政府、海外

直接金融

貸し手(個人、企業)が借り手(国、企業)に、直接お金を融通する方法

リスクは貸し手(個人、企業)が負う

間接金融

貸し手(個人、企業)が銀行を通して、借り手(国、企業)に、間接にお金を融通する方法。

リスクは金融仲介機関(銀行)が負う

≪問題≫

企業がモノやサービスを生産し、家計がそれらを消費するといった生産と●●の循環過程を●●活動と呼んでいます。

●●的流通とは、モノやサービスの生産から消費に伴うお金の流れのことをいいます。一方、●●的流通とは、金融資産の取引(お金の貸借)に伴うお金の流れのことをいいます。

経済活動の中で主たる役割を担っている、●●、企業、政府、海外の4つの経済部門のことを●●主体といいます。

経済主体のなかで、お金が余っている経済部門を●●主体、お金が不足している経済部門を●●主体といいます。金融は、お金を黒字主体から赤字主体に移転させる活動です。

家計部門は●●主体です。黒字主体は、収入が支出より多い経済部門です。●●超過主体とも呼ばれています。

企業部門、政府部門、海外部門は●●主体です。赤字主体は、収入より支出が多い経済部門です。●●超過主体とも呼ばれています。

借り手が貸し手から、直接お金を融通してもらう方法を●●金融といいます。借り手(国や企業)が有価証券(株式や債券など)を発行して、貸し手(個人や企業)から直接的に資金を調達します。

貸し手と借り手の間を銀行が仲介して、間接的にお金を融通する方法を●●金融といいます。銀行が預金の形で貸し手(個人や企業)から資金を集めて、銀行の責任で借り手(国や企業)に貸付けます。

●●金融は、お金を借りる側と、お金を貸す側との間に、金融仲介機関が介在しない取引です。借り手が債務を返さないというリスクは、●●手が負っています。

10

●●金融は、お金を借りる側と、お金を貸す側との間に、金融仲介機関が介在する取引です。借り手が債務を返さないというリスクは、貸し手ではなく、●●が負っています。

≪解答≫

消費、経済

赤字、投資

産業、金融

直接

家計、経済

間接

黒字、赤字

直接、貸し

黒字、貯蓄

10

間接、銀行

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